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特集:中国インバウンド

日本で働く中国人PRウーマンが伝えたい控えめな日本人が、中国人の“新・新人類”と
うまく付き合う方法

第1回

中国の消費を牽引する
“新・新人類”の特徴は?
-欲しがる中国と欲しがらない日本-

“新・新人類”ってどんな若者?その前の“新人類”はどんな世代?その中で日本のどんなモノがヒットしてきた?“モノを欲しがる”世代と、その背景についてご紹介しましょう。

ポイント
  • 日本製品や海外カルチャーが流れこんできた刺激的な環境で育ち、それまでにない価値観を持つ「80後」は、”わがまま”で”期待できない世代”と厳しい評価を受けた。海外への憧れも強く留学や外資系企業への就職も多い。
  • ネットにあふれる情報と恵まれた経済状況で開放感を味わった「90後」は、束縛が大嫌い。出世への執着心は低いが、しっかり稼ぐ。
  • 安くて品質の良いものを大切にする「80後」、ブランド品大好きで、ほしいモノはどうしても手に入れたい「90後」。
  • 世代に加えて、地域でも大きく”常識”が異なるので一律で考えず、細分化したマーケティングを!
中国の消費を牽引する“新・新人類”の特徴は? -欲しがる中国と欲しがらない日本-

悪い日本人はどこに?メイド・イン・ジャパンがステイタス、80年代生まれの「新人類」世代

呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱:さて、今回から“中国版新・新人類”とうまく付き合う方法について、二人でいろいろなテーマや具体例を挙げつつ喋っていこうと思うんだけど、何はともあれ「新・新人類」という言葉の説明からしないとね。「新」が2つもついてるヘンな表現だけれど……デンちゃんがまさにその世代かな?
田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園:そうですね。1980年代後半から1990年代中頃に生まれた世代のことです。1990年以降に生まれた人は「90後(キューリンホウ)」と呼ばれることもあります。ウーさんは「80後(バーリンホウ)」ですよね。
呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱:うん。1980年1月1日から1989年12月31日までの間に生まれた世代…いわゆる「新人類」と呼ばれる世代だね。改革開放が始まって、市場経済の発展を目指すことになった。80年代になって一人っ子政策も本格化するんだけど、そこから一気に海外のモノが流れ込んできたの。ファミコンにウォークマン、冷蔵庫、カラーテレビなどの家電など、日本製品はとにかく人気があったよね。でも、モノが流れ込んでくる以前の、私がもっと幼かった頃は、小学校の毎週木曜日の午後は「映画の時間」。2本に1本は戦争に関係する「愛国映画」で、そこに登場する日本人は総じて悪い描かれ方をしていたんだよね。
田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園:だとすると、子供ながらにもちょっと混乱しますよね?
呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱:うん。品質の良い日本製品が市場を賑わせて、さらには日本のドラマまで放送されるようになって。そもそも私が日本語を勉強しようと思ったのは『東京ラブストーリー』を観たのがきっかけだからね。他にも『101回目のプロポーズ』『ひとつ屋根の下』『愛していると言ってくれ』『GTO』『眠れる森』、アニメだと『ちびまる子ちゃん』と『ワンピース』が好きだったなぁ。そして年頃になれば日本の化粧品に憧れて。とにかく私の世代の「80後」にとっては、メイド・イン・ジャパンはすべてナンバーワン。「日本製品が家にある」っていうと、相当なお金持ちだなぁと思われた。いまでこそTCLやハイアールといった中国発の家電メーカーが台頭してきているけど、当時はまだ創立したばかりだったからね。
田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園:ハイアールの大きな看板、今では銀座の交差点で目立ってますよね。今までは、何が何でも日本の製品が欲しかったけど、国内企業の家電も安さに加えて品質が備わって、アフターサービスも充実してきました。少しずつ、中国人の中で「国内ブランドも安心」というイメージが広まりつつあります。
呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱:帰宅する前にスマートフォンからエアコンをオンにするといったスマート家電への取り組みも積極的だよね。逆に今の日本のメーカーは、家電一辺倒ではなくビルシステムやエレベーター、鉄道の運行システムなどインフラ面でも活躍している日立のようなメーカーが中国では元気なのかもしれない。

価値観のハザマで「最も期待できない世代」と言われるも、海外に目を向け始めた「80後」

田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園:ウーさんが言った日本製品以外で私がイメージするのは、伊藤園のお茶と、サントリーのウーロン茶。あとUHA味覚糖のキャンディ類は、中国の都市部なら、どのスーパーにも置いてあるほど中国人にはお馴染みです。
呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱:面白いのはサントリーのウーロン茶だよね。もともと中国のウーロン茶は糖分が入っていて甘かった。そこにサントリーの無糖ウーロン茶が出てきた。最初は皆驚いたけど、今では健康志向の高まりもあって、飲む人がかなり増えたなと思う。
田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園:そうですね。ともあれウーさんを含めた「80後」世代は、良いモノを次々に生み出し、人気コンテンツで描かれている日本人像と、愛国映画で描かれている日本人像とのギャップを体感した世代ということなんですね。
呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱:そう。戦争や文革などの苦しい時代を生きてきた親世代からすると、比較的安定していて、日本のドラマやアニメを好んで見ている私の世代は「利己的」「反逆の世代」「最も期待できない世代」に映ってしまう。だから、中国では当時、「80後」は散々な言われようだったのよね。理解できない世代であり、これまでの中国にいなかった層だから「新人類」というわけ。でも幼い頃に異文化に触れたから、海外の人と会話してみたいとか、もっと広い世界を自分の目で見てみたいという意識が、これまでの世代に比べて格段に強いと思う。
田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園:その意識は「90後」にも受け継がれてますね。だから私やウーさんみたいに、海外留学する人や外資系企業に就職する人が増えたし、中国の大学にも「国際○○学部」や「○○外国語大学」が台頭してきま した。「80後」と「90後」の違いは、前者が前世代とのギャップを感じたのに対し、後者は生まれたときから豊かな土台が出来上がっていたんだと思います。1979年から国が経済的発展を目指して、80年代は社会インフラを整えて、ようやく90年代に、まだまだ貧富の差はあるけれど豊かさを享受できるようになったのかなと。

お金大好き!モノが欲しい!でも束縛はイヤ!それが「新・新人類」世代

田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園:1990年以降、中国人の意識を変えた大きな出来事といえば、インターネットの登場も外せないですよね?
呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱:それは中国も日本も、その他の国々も同じだね。今でこそ中国国内はネット規制が厳しくて、FacebookもTwitterもGoogleも使えないけれど、インターネットが台頭してきた頃は、実はそんなに厳しくなかったんだよね。海外のサイトにもアクセスしやすかったし、本や新聞以外の新たな情報源を発掘できて、国外へ目を向けることの新鮮さと楽しさ、開放感を味わったと思うな。
田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園:特に「新・新人類」世代は、束縛されることを嫌がるんですよ。たとえば上司に何かを命じられて、それが間違ってると感じたら「YES」とは言わない。それがけしからん!となれば「じゃあ明日辞めます!」と言い放つ人もいる。出世に対して執着心がない人が多いんですね。ちなみに政治への意識も希薄です。逆にウーさんの「80後」は、年功序列がきっちりしているじゃないですか。親に対してとかも。
呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱:親に対して敬意を払うのは当たり前じゃないの?
田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園:そうなんだけど、「80後」は親に対しても敬語をよく使うじゃないですか。「90後」は、もしお母さんがヘンな服を着ていたら「それ、“ちまき”みたいだね(笑)」って普通に言いますもん。
呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱:“ちまき”って、あの笹でくるんだモチ米ね(笑)。でもさ、仕事で「明日辞めます!」って言っちゃう人は、その後どうするの?
田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園:海外の商品をバイイングして、ECサイトを自分や仲間同士で立ち上げるケースも増えてますね。縛られたくなくて出世への執着心はないんですけど、お金への執着心はあるんですよ。しっかり稼いで、欲しいモノを買いたい欲。そこで面白いなと感じるのは、日本の若者との違いです。
呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱:日本だと「90後」は「平成生まれ」ってことになるよね。その世代は「ゆとり・さとり世代」なんて言われ方をしていて、あまりモノを欲しがらない。「若者の〇〇離れ」という言葉もよく耳にするでしょう。もちろん、収入面や年功序列の崩壊などさまざまな理由が背景にあると思うけど。
田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園:端的に言って、中国の新・新人類は“モノを欲しがる世代”ですね。

上海の常識!“家事全般は男性の仕事”
世代だけではなくエリアごとに大きく違うライフスタイル。

呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱:「80後」はね、「何が何でもブランド品がほしい!」という意識は、昔はあったのかもしれないけど年齢を重ねるにつれて薄まってると思うな。もちろん、“品質の良いモノ”を手に入れたい気持ちはあるよ。だからこそ、日本の「ユニクロ」や「無印良品」が人気なんだね。安くて一定の品質を保っていて、シンプルでおしゃれ。もともと、中国人に受け入れられやすいブランドだと思う。
田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園:上海の新店舗オープン時は、数時間待ちの行列ができたことが現地で話題になっていたみたいですね。「90後」世代にも「ユニクロ」や「無印良品」が好きな層がいますけど、やはりブランド志向の層のほうが多数を占めるかなぁ。
呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱:「80後」世代は、お金よりも健康と家族とのコミュニケーションを重視するかな。都市部では外食文化が盛んで、経済成長とともに外食する人が増えてきたけど、ここへきて家ご飯を食べる習慣が台頭してきた。だから、お米を美味しく炊ける炊飯器が流行っているね。
田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園:地域性にもよりますよね。たとえば北京だと、家事や料理は女性が担うケースが多い。でも上海だと、共働き夫婦でも男性が家事や料理をつくることが一般的です。日本人男性にこのことを話すと「上海の男性は大変だなぁ~」ってよく言われますよ。
呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱:そうだね。ともあれ“ひとつの中国”という言葉もあるけれど、世代や民族、宗派、地域性などによって考え方やライフスタイル、食べ物、文化までガラリと変わるのが中国。さらに上海に絞ったとしても、在中日本人をターゲットにする商売なら、彼らの多くが住む長寧区だなとか、エリアごとに特色がある。 企業として中国進出を図るなら、ターゲットに応じて対策を変えていくことは大前提になるでしょうね。

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呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
呉 昱 (うー・ゆー/WU YU)
北京第二外国語大学日本語学部卒業。日系PR会社にて4年間勤務後、日系電機メーカー 広報部に出向。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程を経て、オズマピーアール入社、日本企業の中国コミュニケーション戦略に従事。2011年、日中コミュニケーションについてのコラムをビジネスサイト「Business Media誠」内で連載。
<著書>『やっかいな中国人のホンネがわかる本』
田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
田 園園 (でん・えんえん/DEN ENEN)
高校卒業後来日、日本の大学を卒業後、上海の大手日系百貨店にて、マーケティング部の宣伝担当として日本文化紹介イベントを数多くを企画、宣伝。中国初の上海国際映画祭「日本映画の旅」を企画。その後、CRM部門の立ち上げに携わり、EC運営も担当。2015年上海市長寧区政府より「優秀イベント主催者」受賞。日本企業の中国アウトバウンド関連業務などに携わる。

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