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有事に必要な「動的」コーポレート・コミュニケーションとは?

2017.01.26コーポレート・コミュニケーション部 古橋 正成

コーポレート・コミュニケーション(企業広報)には、様々な定義付けがされています。詳細は割愛しますが、これまで多くは、社会またはステークホルダーとの相互理解や調和といった、「静的」な観点で論じられてきました。これは日常的な「平時」のコミュニケーション活動を前提としています。

しかしながら、企業が自社を取り巻く環境を積極的に変える必要性が生じる、いわゆる「有事」の状況の場合には、コーポレート・コミュニケーションを「動的」に捉える必要性が生じます。「動的」というのは、自社を取り巻く環境を積極的に変える目的でコミュニケーションを行うという意味です。このような状況に置かれた場合、態度または行動の変容を促したい対象(「コミュニケーション・ターゲット」(以下、「ターゲット」)を設定し、そのターゲットを自社に有利な方向に実際に「動かす」ことが必要となります(図1)。

不確実性が増す現代では、自ら積極的に働きかける「動的」なコミュニケーションの必要性が高まっています。ここでは、その動的コミュニケーションをどのように設計すべきなのかということを明らかにしていきます。column_cc_1

 

目次

  1. 動的コミュニケーションが必要となる状況
  2. 動的コミュニケーションの基本設計
  3. まとめ

 

動的コミュニケーションが必要となる状況

「有事」の状況、つまり、動的コミュニケーションが必要となる状況の典型例には、自社が他者からコミュニケーション上の攻撃を受けた場合があります。例えば、自社の一部の株主から企業経営陣の意向に沿わない株主提案をされ、その結果、委任状争奪戦(プロキシー・ファイト)に発展するというケースがあります。
このケースの場合、その株主は自らの株主提案を株主総会にて可決させるために、マスメディアに対して自社の正当性を主張することがままあります。そうなると、企業経営陣としても、同じように自社の正当性を対外的に主張し、他の一般株主の賛同を得る必要性が生じます。そうでなければ、相手の主張のみが他の株主に認知され、株主総会において企業経営陣側が劣勢の立場に陥る可能性があります。このような事例は枚挙に暇がありません。

別のケースを挙げると、法的な制度変更を促す必要に迫られた場合が想定されます。これは仕掛けられる側、または仕掛ける側、の両面の立場がありますが、仕掛けられる側でいうと、自社の既存サービスを脅かす革新的な競合他社が存在し、その競合他社が自らに有利な形で既存の制度を変更しようとしてきた場合への対応が挙げられます。
この場合、競合他社は制度変更の意思決定を行う者(政治家や官僚)の支持を得るために、既存の制度がもたらす弊害等を積極的に情報発信してきます。こうなると、競合他社の情報発信に対する形で、既存の制度の正当性等を訴求する必要に迫られます。

法的な制度変更のみならず、企業がCSV等の観点から、何らかの社会的課題を解決しようとした場合も同様です。課題解決に当たっての支持者を増やすためには、動的なコミュニケーションを積極的に行う必要が生じます。

このような状況の場合、企業はステークホルダーとの相互理解や調和を超えて、積極的にターゲットを「動かす」動的なコミュニケーションを行う必要が出てきます。静的なコミュニケーションとは全く異なる発想でコミュニケーションを行う必要が出てくるのです。

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動的コミュニケーションの基本設計

動的コミュニケーションを行う場合、態度または行動の変容をさせたい明確なターゲットが存在するため、その変容を促すコミュニケーションを設計するということになります。そのためには次の4つのステップを踏みます。

(1)ターゲット群の明確化
(2)ターゲットの判断基準の把握
(3)社会トレンドの分析
(4)メッセージ(自社正当性)の構築
(5)活動施策への落とし込み

 

(1)ターゲット群の明確化

まず自社の目的を実現するためには、「動かす」必要があるターゲットを明確にしなければなりません。そして、そのターゲットの「どのような態度をどう変容させるか」という点まで落とし込んで考察していきます。その上で、このターゲットに影響を及ぼす他の主体は何かを明確にします。というのも、最終的なコア・ターゲットを動かすために、そのターゲットに影響を与える主体(アウター・ターゲット)も自社のコミュニケーションのターゲットになりうるからです(図2)。この分析を繰り返し、自社がコミュニケーションすべきターゲット群の全体像を設計していきます。column_cc_2

委任状争奪戦(防衛側)のケースを想定すると、コア・ターゲットは自社経営陣に反対する一部株主です。そして、彼らに影響を与える主体としては、一部株主の取引金融機関であったり取引先であったり、またはメディア(の報道)であったりします。
また、一部株主の態度を直接変えることが困難な場合、委任状争奪戦まで発展することがあります。そうなると、株主総会で票を入れる他の株主から企業経営陣側への賛同を取り付ける必要が出てくるので、一部株主以外の一般株主がコミュニケーションのコア・ターゲットになります。一般株主との直接的なコミュニケーションに加えて、一般株主に影響を及ぼすマスメディアや議決権行使助言会社などもコミュニケーション・ターゲットとなっていきます。

 

(2)ターゲットの判断基準の把握

ターゲットを明確化した後は、ターゲットが態度を変える際の判断基準を考察します。制度変更のケースで言うと、制度変更を決める人たちが、どのような判断基準に基づいて変更の是非を検討するのかを明確にするということです。

これらターゲットが持つ判断基準を踏まえないと、ターゲットの意思決定に影響を与えないメッセージを発信してしまうことになりかねません。コミュニケーションの成功確率を高めるためには、ターゲットの判断基準を意識したコミュニケーション設計を行うことが重要になります。

この判断基準についてはターゲットが特定の属性(たとえば、機関投資家)であればあるほど把握しやすくなります。しかし、ターゲットがマス(たとえば「一般市民」)となる場合では推測することが困難となります。この場合は、マスのターゲットがどのような判断基準を有しているかについて、ターゲットをグループ化した上で、最も態度変容させたいグループに属する人たちの判断基準を意識調査等を通じて把握していくことになります。

なお、この判断基準の考察にあたっては、「論理的な」側面、(何を持って納得するのかの判断基準)と「情緒的な」側面(何を持って共感するのかの判断基準)という2つの視点にもとづいて考察を行うことが望ましい形です。この2つの視点を踏まえることで、効果的なメッセージを構築することができます。

 

ターゲットの判断基準は、その時々の社会トレンドによって変化します。たとえば、日本人の「働き方」に関する社会全体の認識はこの数年、特にこの数ヶ月で大きく変わっています。それによって、企業の人事担当役員の人事制度に関する判断基準も変化しているはずです。
対象となるテーマについて社会全体としてどのような認識が持たれているのかを分析し、それによってターゲットの判断基準はどのように影響を受けているのかを推測することが重要となります。その推測のためには、メディア論調分析やソーシャルメディア分析等が用いられます。

 

(4)メッセージ(自社の正当性)の構築

ここでは、自社の主張を正当化するキー・メッセージを構築します。このメッセージは、コミュニケーション全体を通じてターゲットに支持される自社のポジショニングを形成する土台となります。委任状争奪戦(防衛側)のケースで見ると、一部株主からの提案に反対する自社経営陣の主張を正当化することがメッセージの中核となります。

典型的な例ではありますが、一部株主から「対象会社の業績が不振なのはガバナンスが機能していないから。したがって経営者を変える必要がある」というカウンター・メッセージを受けた場合、その会社は「ガバナンスの機能」云々の土壌で戦うべきなのか。その答えはターゲットの判断基準にあります。
仮にこの会社に個人株主が多い場合には、その判断基準はガバナンスの良し悪しというよりは、論理的には将来の金銭的メリット(株価上昇や株主還元の充実)であり、情緒的には「勧善懲悪」であったりするかもしれません。そうであれば、訴求すべきメッセージは、「当社の成長性(株主還元含む)」というものと「相手の不当性(不当に乗っ取られる・・)」となります。

メッセージには何らかの裏付け・根拠が必要となるので、「当社の成長性」は「中期経営計画の修正」というアクションが伴い、「相手の不当性」はその一部株主の過去の何らかの落ち度等をあわせて訴求するということになります。加えて、「成長」や「不当性」は相対的な概念なので、何と比較して「成長性」があるのか、「不当性」があるのか、を明確にすることが必要となります。

なお、自社が主体となってメッセージを発信するだけではターゲットにその正当性が信頼されないことがあるため、メッセージに「客観性」が必要となることもあります。この場合、自社が訴求したいことを第三者に代弁してもらうことが効果的です。

メッセージ(自社の正当性)は、自社が主観的に言いたいことをそのまま言うのではなく、あくまでもターゲットの判断基準に即して客観的に決定すべきであり、そこがずれてしまうとコミュニケーション効果は薄れてしまいます。なお、自社と対立する相手がいる場合には、相手方が発するメッセージに合わせて常時基本設計を調整していく必要があります。図3に上記②~④のまとめとなるフレームワークを掲載していますが、このように各項目が論理的に連関する形で設計をすることが重要となります。

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(5)活動施策への落とし込み

これまで構築したメッセージをターゲットの効果的に伝えるための施策を構築します。ここでは、機会的に施策を行うのではなく、ターゲットの最も影響を与える順序にて各施策を組み立てることが必要となります。

法的制度変更の案件でいうと、政治家や官僚といったターゲットにすぐにアプローチしても影響を与えにくい。彼らに影響を与える情報をつくるが必要となってきます。
たとえば、マスメディアにて当該法制度の弊害およびその弊害を被っている被害者等を報道してもらい、加えて、その弊害を理論的に指摘する有識者と協力関係を構築した上で、マスメディアにて報道された事実および有識者の理論武装をもってターゲットにアプローチをすると、相手に何らかの影響を与えられる可能性があります。このように、ターゲットに最大限の影響をあたえることに主眼をおいた施策プランニングが求められます。

なお、動的コミュニケーションの場合には、自社と敵対する相手が存在するケースが多いが、こちらが能動的に情報発信を行うと、敵対する相手からのカウンター・メッセージが発せられます。この場合には、相手のカウンター・メッセージを踏まえてこちらのメッセージや施策を微調整する必要が生じます。このように相手方の動向を踏まえて常に施策を調整しながら、実行していくことになります。

 

まとめ

以上、動的コミュニケーションの基本設計を説明してきました。この基本設計に基づき、各種広報施策を通してメッセージを発信していくことになりますが、基本設計の本質は、「自社が望むポジショニングを形成するためのメッセージの設計」にあります。敵対する相手との個別の論争に引きずられるのではなく、あくまでも鳥瞰的な視点でコミュニケーションを行っていかなければなりません。

誰もが成長をする時代が終わり、限られた果実を得るために各社がしのぎを削る現代においては、自社を取り巻く環境を所与のものとして捉えるのではなく、自社が成長できるように環境を積極的に変えていく発想が必要となります。その実現のためにコーポレート・コミュニケーションが果たす役割は非常に大きくなってきています。

 

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