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気象情報をビジネスの味方に!日本気象協会の商品需要予測コンサルティング PR事例

2018.03.28広報担当

防災や環境・エネルギー分野におけるコンサルティングなど、気象に関する専門的な業務を担う一般財団法人 日本気象協会。その取り組みの中には、今日における社会的な諸問題を解決しうる可能性を秘めたサービスも少なくありません。それらサービスを広く認知させるためには、どのようなPR戦略が功を奏するのか――。今回は、日本気象協会とオズマピーアールが取り組み、「2017年度 PRアワードグランプリ」の「シルバー」を受賞したBtoBコミュニケーションの一端をご紹介します。

日本気象協会の業務、その約9割が行政・企業向けコンサルティング事業

日本気象協会は、1950年に財団法人として設立され、2009年には公益法人制度改革に伴い、一般財団法人に。この段階でいわゆる民間企業となりました。 従業員数は700名超。そのうちの多くが博士、技術士、気象予報士、環境計量士、測量士などの資格を有し、実に全体の約9割が理系出身の気象エンジニアリング集団です。

実際に担っている業務は、まず防災ソリューション事業。気象防災リスク低減を目的とするコンサルティングで、自治体や鉄道会社などが主なクライアントになります。一方、環境・エネルギー事業のクライアントは主に電力会社です。電力をどのくらい購入すれば供給に足りるか、風力発電や太陽光発電を行うにあたってどこが適しているかなど、未来の環境・エネルギーを予測したコンサルティングを担います。

これら気象に関する行政・企業向けコンサルティング事業が、業績全体の約9割を占めている現状です。残りの約1割はBtoC事業で、「tenki.jp」などの生活者向け気象情報の提供や、所属する気象予報士をメディアへ派遣するといった業務がこれにあたります。

今回、PRを実践した「商品需要予測コンサルティング」は、企業向け、つまりBtoBの新たなコンサルティング事業領域です。オズマピーアールでは2016年4月から全体的な企業広報コンサルとして日本気象協会とお取引していますが、一つひとつの事業やサービスについて調べていくと、「これが世の中に広まったらおもしろそうだ」と思えるような、実に興味深い事業やサービスを複数展開していることがわかりました。「商品需要予測コンサルティング」もそのひとつ。当初は一部門として確立しておらず、複数の部署の人材が横断的に集まった一プロジェクトに過ぎませんでした。

気象データだけでなくAIやSNSをも駆使した「商品需要予測コンサルティング」

暑い日には冷たいコーヒードリンクが売れて、寒い日には日本茶が売れる――。その感覚は誰しも理解できると思います。一方で、単なる感覚ではなく、多様なデータを駆使して定量化し、予測精度を高めたものが同協会の商品需要予測コンサルティングです。気象データはもとより、顧客行動の指針となるSNSでのつぶやきや商品POSデータを組み合わせ、そこに気象予測とAI技術を加えることで、需要予測の精度が向上。そのデータをもとに、在庫の余剰や不足の抑制につなげます。

従来のサプライチェーンでは、需要予測をメーカー、卸・流通・小売それぞれが個別に行う「部分最適」の手法をとっていました。同協会の商品需要予測コンサルティングは、サプライチェーン全体で一貫した需要予測データを用いて全体最適化を図るものです。同協会が、各企業のハブとなって機能します。

こうした発想自体は新しいものではなく、かねてから議論されていたそうです。しかし以前は気象情報の精度も低く、AIやSNSも当然ありませんでした。今、まさに環境が整うことで事業としての可能性が拓けてきたといえます。さらに、気温だけでなく湿度や「前日との温度差」によっても暑さの感じ方は異なるといった知見なども加え、より高度な商品需要予測を実現しています。

ソーシャルイシューごとのメディアリレーションを構築し、PRアワードも受賞

実際、このコンサルは確かな成果を上げていました。食品メーカーA社の「冷やし中華つゆ(360ml商品)」は終売予測で在庫を約90%削減。B社の「寄せ豆腐」は、需要予測により予測精度を30%改善。さらにC社の「ペットボトルコーヒー」は、気温の予測期間を1週間から2週間に延ばしたことで海路での物流を実現。いわゆるモーダルシフトの推進により、CO2排出量が海象予測による最適航路での運航とも合わせ54%も削減しています。

数字を伴った明確な実績があることは、PRの実行においても大きな追い風となります。しかし、これまで同協会ではプレスリリースを発行していたものの、基本的には「問い合わせ対応」がメインで、記者発表会は行ったことがないという状況でした。そこで、まずは本プロジェクトの認知向上を図り、全体最適化のメリットを認識してもらうためのエビデンスを提供することを課題として掲げました。コア・ターゲットとなるのは、製造、流通、販売に関連する各企業サプライチェーンの企画担当者ならびに意思決定者です。

具体的には3つの柱があります。まず1つめは、マスメディアを通じてのわかりやすい露出確保。さまざまな分野の記者との関係を構築すべく、トライアルとして記者発表会を行っていきました。経済産業省の記者クラブでは経済・省エネの話題、環境省の記者クラブでは省エネの話題、農水省の記者クラブでは食品ロスの話題、気象庁クラブでは気象の話題といったように、それぞれのソーシャルイシューと絡めてPRした点がポイントです。

これはプロジェクトそのものが、CO2の削減や食品ロス削減、トラックドライバー不足への貢献、次世代サプライチェーンの構築・効率化など、さまざまな社会課題の解決の糸口となるからこそ実現できたことだと思います。同時に、他社事例や数値結果の露出にも注力することで業界紙やテレビ等のメディアで「気象予測で食品ロス減 豆腐3割、めんつゆ2割弱」といった、エビデンスとして機能するような見出しが躍るようになりました。

2つめの具体的な施策は、信頼性の確保。第三者機関が行う各種アワードに応募してみてはどうかとご提案しました。その結果、平成28年度省エネ大賞の経済産業大臣賞(ビジネスモデル分野)をはじめ、食品・物流等の分野で賞を獲得。さらに、コミュニケーション活動(広報・PR活動)の優秀な活動を表彰する公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会主催の「2017年度 PRアワードグランプリ」では、銀賞にあたる「シルバー」を獲得するに至りました。

PRアワード2017にて、シルバーを受賞

3つめは、本コンサルティングの採用を検討する企業の担当者が、直接話を聞ける機会を増やすこと。具体的には4名のプロジェクトメンバーによる講演・セミナーで、各種学会や公的機関主催、業界団体主催、民間企業などの採用担当者と直接的なコミュニケーションを図る目的があります。PRとして参画した当初から、プロジェクトリーダーをはじめとしたメンバーの志気は一様に高かったこともあり、講演・セミナーも精力的に行われ、大きな効果を経たと実感しています。

引き合いは9件⇒102件に、契約締結数は約15倍に飛躍

さまざまな施策を並行して実現した結果、「他社での実績が数値としてある」「省エネ大賞の経済産業大臣賞やPRアワードなどの受賞歴もある」「メディアでも頻繁に取り上げられている」という事実が広く認知され、さらにセミナーに参加して「直接、話を聞いても興味深かった」と感じていただいたSCM担当者も少なからずいらっしゃったと思います。

そして、企業からの引き合いは2014~2015年は9件だったところ、2016~2017年は102件に。契約締結数は、実に約15倍という具体的成果につながりました。

この成果に伴い、本プロジェクトが日本気象協会の正式な事業としてスタートし、「先進事業課」の新設に至ると同時に、広報課も理事長直轄の「広報室」となりました。中期経営計画においても大きな戦略の一つとして位置づけられ、多大な期待が集まっています。

なお、2018年2月には日本気象協会と日本電気株式会社(以下、NEC)の協業が発表されました。NECがデータ基盤を担い、日本気象協会が気象データの提供や、各種データを活用した商品需要予測サービスの提供を担います。先進的なAI・IoTを活用することで、バリューチェーンのイノベーションがますます加速しそうな勢いです。

オズマピーアールとしても、日本気象協会のプロジェクトメンバーと共にさまざまな議論を重ね、ありがたいことに「PRアワード」受賞にも至りましたが、今後においてもコーポレートリテーナーとして、さらにはメディアトレーニング等においても貢献を図り、ひいては社会課題の解決に寄与するBtoBコミュニケーションを継続していきたいと考えています。

 


 

株式会社オズマピーアール シニアディレクター 古橋 正成

本件では、商品需要予測コンサルティングというサービス自体が社会的意義を持ったものであったこと、そして、経営陣から現場スタッフまでコミュニケーションに対する社内関係者の理解が深く、効果的な活動を迅速に推進できたこと、この2点が成功の要因でした。今後BtoBコミュニケーションの重要性はさらに増していく中で、本件は先行事例として位置づけられる案件であったと思っています。

 


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