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商業施設の一歩進んだSNS活用を考える!「クリスマスマーケットin横浜赤レンガ倉庫」PR事例

2018.03.14広報担当

“レトロな横浜”を象徴する施設として、カップルや家族連れ、ご年配の方など幅広い世代から愛されている横浜赤レンガ倉庫。いつ訪れたとしても、情緒溢れる赤レンガの建物をバックに写真を撮る人の姿が絶えません。「インスタ映え」という言葉が登場する以前から、フォトジェニックなスポットとして高い知名度を誇ってきました。

そんな横浜赤レンガ倉庫では、年間を通じてさまざまな企画が展開されています。2017年11月25日(土)から 12月25日(月)の期間に開催された「クリスマスマーケットin横浜赤レンガ倉庫」は、今年で8回目。昨年は80万人以上が来場した人気イベントですが、さらなる来場促進につなげるとともに「もっと横浜赤レンガ倉庫のファンを増やしたい」という目的を据え、マスメディアとインスタグラムを中心としたSNSメディアを掛け合わせた複合的な取り組みを実施。単なるインスタグラム上での情報発信にとどまらない“一歩進んだSNSの活用”に向けて、横浜赤レンガ倉庫とオズマピーアールはどのように取り組み、どんな知見を得たのかご紹介します。

「公式アカウントでの一方的な情報発信」にとどまらないSNS活用を模索していた

TwitterやFacebook、インスタグラムなどのSNSを情報発信ツールとして活用する企業は少なくありません。その一方で、ユーザーとどのようなコミュニケーションを図り、どう効果を測定してビジネスへ結びつけるのかということに関しては、多くの企業がいまだ模索中といえます。

横浜赤レンガ倉庫でも、2010年にTwitter、2015年にはインスタグラムの公式アカウントをそれぞれ開設。いずれも着実にフォロワー数を増やしてきました。「イベントを開催する時などは、これら公式アカウントでの情報発信をはじめ、各SNS上で表示される広告の出稿や、駅貼り等の交通広告、メディアでの情報流通戦略などを並行して進めていました」と語るのは、株式会社横浜赤レンガのイベント事業部・石井朋子さん。その一方で「公式アカウントでの発信や広告出稿以外で、SNSをもっと活用する方法がないだろうか模索している」とのことでした。

しかし、SNSを活用するにあたり、ひとつの課題が浮上します。SNS上で強い情報発信力を持つユーザーは「インフルエンサー」。ことインスタグラムにおいては「インスタグラマー」と呼ばれていますが、そうしたユーザーに広告投稿を依頼し、金銭を支払い、関係性を明示した上で宣伝のつぶやきをしてもらう……そうしたプロモーション手法は、逆にブランド価値を下げてしまうリスクを伴っています。石井さんも「あくまでもSNSを通じて“自然に”ユーザーとの関係を築きたい」という想いをお持ちでした。

右から、株式会社横浜赤レンガ イベント事業部 本多 康介さん、石井 朋子さん、
オズマピーアール“横浜赤レンガ倉庫PRチーム”の久保木麻衣、岡田紗知

目的は「横浜赤レンガ倉庫の“真のファン”との関係づくり」

そこで、かねてから横浜赤レンガ倉庫のメディアへの情報流通戦略を担っていたオズマピーアールチームが、これから構築していくべきインスタグラム活用についてご提案しました。簡潔に説明すると、日頃から横浜赤レンガ倉庫に関心をもって情報を発信してくださっている真のファンを見つけ出し、クリスマスマーケットのオープンに先駆けてご案内し、丁寧に企画の意図やおすすめのポイントを紹介。そして、その場で感動したことや美しいツリーなどの景色を、ファンの方が抱いた想いや情感とともに、それぞれの意思で伝えていただく取り組みです。活動の目的は、「来場促進」もさることながら、「横浜赤レンガ倉庫の“真のファン”であるインスタグラマーとより良い関係を築くこと」もひとつのゴールとして据えました。

同イベント事業部の本多康介さんは「当初は、横浜赤レンガ倉庫の人気企画である『横浜オクトーバーフェスト』の開催の際にご提案いただきました。その際は実現しなかったのですが、インスタグラムの特性である画像での情報発信においては、ビアフェスよりもクリスマスマーケットのほうが親和性が高いだろうと感じ、オズマさんと一緒にトライアル的に取り組むことになりました」と、このプロジェクトの経緯を振り返ります。

インスタグラマーとの関係性を築く上で何より大切なのは「親和性」の追求

最初に検討したのは、どのようなインスタグラマーと関係性を築いていくのか、その方針です。短期的なプロモーション視点で考えるのではなく、本当に横浜赤レンガ倉庫に想いを寄せていただき、「プレオープンのご招待を喜んでいただける方」という前提は外せません。

そこから、オズマピーアール岡田と久保木の「インスタグラムから“伝わってくる想い”をひたすら見つけ続ける日々」が始まりました。SNS分析ツールを駆使しつつ「“横浜赤レンガ倉庫”“横浜”“おでかけ”“イベント”“フェス”などのキーワードで検索して、横浜赤レンガ倉庫の企画に興味と想いを寄せていただけそうなユーザーを探し続けました。加えて、アクセスにも考慮し、プレオープン日に来館いただけそうな首都圏近郊が生活圏の方を見つけていきました。公開プロフィールでは分からないケースも多々あるため、過去の投稿も徹底的に振り返り、横浜赤レンガ倉庫の画像があったとしても『この人、実は関西住まいかもしれないね…』などと二人で悩んだりしましたね」と岡田は振り返ります。

「とにかくフォロワー数の多い人…という視点ではなく、何より大切なのは、横浜赤レンガ倉庫との親和性。そのため横浜赤レンガ倉庫さんをフォローしている方もリサーチして、いいね!数やコメント数、フォロワーとの関係性なども考慮しました」と話す久保木。結果、徹底的に投稿を見つめて、想いを探り適切と思われる方に、コンタクトを取らせていただきました。

ここで大事なポイントだったのは、インスタグラマーとのファーストコンタクトを横浜赤レンガ倉庫の公式アカウントから、インスタグラムのダイレクトメッセージで送らせていただいたことです。「このメッセージは、やみくもに送っているのではなく“インスタグラムを拝見して” “あなただからご案内させていただきたい”という旨をきちんと伝えました」と本多さん。もともと親和性のあるインスタグラマーだけにお声がけさせていただいたため、招待を喜んでいただける方が多かったのですが、プレオープンは1日限定がゆえ「残念ながら仕事で行けません」という方ももちろんいらっしゃいました。結果的には、お声がけした約半数の方から参加したいと、返信をいただくことになり、当日を迎えます。

魅力的なインスタグラムの投稿が来場を後押し、約19.8%と高いエンゲージメント率を記録

プレオープン当日、急遽来られなくなった方もいらしたものの、お声がけに反応いただいたほとんどのインスタグラマーの方々が来場されました。その想いのこもったインスタグラムへの投稿は強い共感を呼び、合計70,644名にリーチし、約19.8%となる13,732件の「いいね!」と273件のコメントを記録。ご招待したインスタグラマーを通じて、多くの方に情報と魅力を届けることができました。なかには、コメント欄でフォロワーの方に対してクリスマスマーケットの魅力を紹介してくださるインスタグラマーの方もいて、横浜赤レンガ倉庫の“真のファン”としての関係を築くことが出来たのではないかと考えています。

当日は、ツアー形式でアテンドすることはせず、インスタグラマーの皆さんに思い思いに楽しんでいただく形にしました。ただし、「まず受付で、今年のクリスマスマーケットが旧西ドイツのケルンの世界観を再現していることや、フォト映えするポイントなど伝えたいことは簡潔に説明させていただきました。ここでの説明を投稿時に紹介してくださっている方も多かったので、結果としてよかったと思っています(久保木)」。

また、当日はグリューワインなどの飲み物や、企画の世界観を表現したフードもご用意。しかし、屋外のイベントではプラスチック製の少々味気ないカップでのご提供になってしまいがちです。そこで、当日は特製のマグカップを横浜赤レンガ倉庫さんにご用意いただきました。しかしこれが、想定外の使われ方をします。

「ルーフやツリーを背景に自撮りする際、マグカップを小道具の演出アイテムとして持つ方が多かったんです。クリスマスの雰囲気を醸すアイテムとして使っていただけたんですね。こうした世界観に合わせたアイテムを揃えておくことも今後の企画への気付きとなり、撮影したくなる雑貨を販売することで、売上拡大につながる可能性も感じました(岡田)」。

今後の課題は、「インスタグラマーの世界観」とのマッチングを追求すること

今回の取り組みの改善点としては、よりいっそう、インスタグラマーの創り出す世界観を見つめて、各キャンペーンとの相性を考慮した上でインスタグラマーにご案内し、より良い関係を深めていくことです。今回、来場いただけたものの、投稿されなかった方もいらっしゃいましたが、その方のインスタグラムを改めて見つめてみると、イベント関連の写真がなかったり、全体的に明るい風景の写真が多いケースも見受けられました。逆に、インスタグラムに風景の写真を頻繁に投稿している方は、一眼レフと三脚を持参し、横浜赤レンガ倉庫の建物を丹念に撮影していらっしゃいました。

「今後は、たとえばイベントのフードを伝えたいならば、インスタグラムでグルメ写真を多くアップされている方だったり、風景を伝えたいなら風景写真が多い方といったように、伝えたいポイントとインスタグラマーの世界観を、よりマッチさせることが大切だなと感じました(岡田)」。

加えて「クリスマスマーケットというイベントの特性ゆえ、夜に比べて昼の集客が今後の課題ですね」と石井さん。これも、同様の取り組みをするのであれば、昼のイベントや風景写真を頻繁に投稿しているインスタグラマーとの関係を深めてみてもよさそう…という話になりました。

今回の対談では「プレオープンのようなインスタグラマーにご案内するタイミングが、キャンペーンによっては複数あっていいかもしれない」「最初にどれだけの人にご案内するのが適正なのか」「ご案内に反応いただける確度を高めるためにはどうすればいいか」「インスタグラマーの投稿が相次いだタイミングの直後に横浜赤レンガ倉庫の公式HPのアクセス数は増加するが、そこから来場までいただけるためにはどうすればいいか」など活発な意見が交わされました。「明確な答えは出ていないところもあるけれど、今後も当社が伝えたいポイントと、インスタグラマーの世界観をマッチングさせていけたらいいですね」と本多さん。

今後の課題解決につながるマスメディアとSNSをかけ合わせたPR活動の新たな光

課題となっている昼の集客を増やすことを解決する鍵を見つけるべく、イベント会期中に『#赤レンガ倉庫 #クリスマスマーケット』などのハッシュタグをつけてインスタグラムに投稿された内容や日毎の来場者数や投稿率を調査。投稿内容ではイルミネーションの投稿が圧倒的に高く、昼間のクリスマスマーケットの楽しさが伝わる写真の投稿が少ないことがわかりました。イベント告知の際にメディアへ情報提供した内容や、実際にメディアで紹介された内容も合わせて見てみると、イルミネーションの美しさを中心に、クリスマスマーケットを紹介している内容がほとんど。マスメディアで見た情報を一般生活者が受け取り、その情報をもとに実際に足を運んでくださるので、当たり前の結果といえばそうなのですが、実際にインスタグラムに投稿された内容を分析することでより実感がわきました。データとして数字も見れているので、次回のクリスマスマーケットでは課題をどう解決していくかという点でも、今回の活動で見つけた鍵を活かしPRの効果をより高めて行きたいと考えています。これまでもPR活動の中でメディアの方からいただいた声をイベントに反映していただいていますが、今後はメディアの方の声とSNSで見つかる一般生活者の方の声の両方を反映して、よりよいイベントになるお手伝いをしていきたいです。オズマピーアールとしても、今後も協力してトライアルを重ね、SNSでのファン形成・PRに励んでいきたいと思います。

 


 

株式会社横浜赤レンガ イベント事業部 マネージャー 本多 康介さん

SNSの活用を試行錯誤しているところに、今回の提案をいただいて実現に至りました。もともとインスタグラムは広告出稿の分析などの観点からも、かなり可能性のあるメディアだと感じていました。ただ、「どれが一番効果があるか」という観点ではなく、それぞれが連動するものだと思いますので、これから口コミの力が強まる中、きちんとウォッチして一緒に考えていきたいと思っています。

 

株式会社横浜赤レンガ イベント事業部 石井 朋子さん

今回の試みは、とても実りあるものでした。同時に当社では独自にTwitterなどでキャンペーンを実施していく予定です。インスタグラムでは定期的にフォトキャンペーンを打ち、素敵な作品には賞を授与しています。こうした試みを絡めつつ、複合的かつ柔軟に情報発信とファンづくりを行っていけたらいいですね。

 

株式会社オズマピーアール PRプラナー 岡田 紗知

最初にこの企画をやりましょう!となった時、「横浜赤レンガ倉庫のファンを増やす」という目的を共有できたことが大きかったですね。加えて、単にフォロワー数の多い少ないで、インフルエンサーの価値を決めなかったことも功を奏したと感じています。今後は、私たちの想像を超える切り口で、新たな魅力を発掘・発信してくれるような方にもアプローチできるよう、継続して考えていきたいと思っています。

 

株式会社オズマピーアール 久保木 麻衣

私はこれまでメディアを通じての情報発信がメインで、SNSで活躍するインフルエンサーとの関係づくりに取り組んだのは今回が初めてでした。「発信者の興味に合わせて情報を提供し、それを伝えてもらう」という意味ではどちらも同じです。ただ、今回はデジタルな世界でのPRだけど、とても人間味のある施策だったなと感じています。一人ひとり違う興味の対象を見出し、分析を試みて、結果的にファンになってくれる人を結ぶ。自然と人に伝えたくなるPRを、これからも創り出していきたいです。

 


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オズマピーアールの専門領域:商業施設

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