
社会・生活者と良好な関係を築く
コミュニケーション活動
一般的にも広く知られている「PR」という言葉。「PR」はパブリックリレーションズ(Public Relations)を省略した言葉です。「PR」と聞くと、「自己PR」といった言葉を思い浮かべ、何かを一方的にアピールすることと同義のイメージを抱かれ、「広告・宣伝」活動の一部と捉えられることもあります。
社団法人日本PR協会では、PR(パブリック・リレーションズ)を「組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団・社会)との望ましい関係をつくり出すための考え方および行動のあり方」と定義しています。

PR(パブリック・リレーションズ)の始まりと発展
1890年代、アメリカでは新聞がマスメディアとして大衆に大きな影響を与えるようになりました。そこで企業や資本家の最重要課題になったのが、大衆の理解を得ることや、利害関係者(ステークホルダー)と信頼関係を築くこと。そのためにはメディアと向き合う必要があり、双方向のコミュニケーションをマネジメントする手法(PR=パブリック・リレーションズ)とともに実践できる理論とプロフェッショナルが求められました。
その後、世界大戦や世界大恐慌など社会的混乱が起こったことから、政治を行うために国民との合意形成や相互理解の必要性が高まり、PRの技術はさらに発達。世界第二次大戦時にはプロパガンダとして変容した側面もあるものの、相互に利益をもたらす双方向のコミュニケーションとして発展を遂げました。
日本には戦後GHQによってもたらされ、「PR課」「広報広聴課」が行政関係機関に設置されました。それらが次第に「広報」という言葉にまとめられていきました。
プロパガンダ(Propaganda)とは
主に政治利用に用いられる一方通行のコミュニケーション。1627年にローマ・カトリック教会に設けられた外国へ派遣する宣教師の訓練や監督を行うための枢密卿委員会 (Congregatio de Propaganda Fide)に由来。教義や主義を国民に強要するという否定的なニュアンスの意味でとらえられることが多い。
社会環境の変化により高まる
PRへのニーズ
グローバル市場の地殻変動や世界中で巻き起こる大災害、新型ウイルスの世界的パンデミック、国内外紛争の勃発など、以前には考えられなかった社会が大きく変わるような出来事がたびたび起きるようになりました。日々進歩するテクノロジーも続々誕生していき、世の中が激しく変化しています。こうした環境の変化に伴い、生活者のニーズ、価値観、ライフスタイルも大きく変わりつつあります。
企業はこれらの変化に対応せざるを得ません。かつては正解にどれだけ早くたどり着けるかを競っていましたが、世界的な社会変動や市場の成熟と共に、今ではその都度新しい答え(最適解)を見つけなければならない時代に突入しています。
「SDGs(持続可能な開発目標)」や「ESG(環境・社会・ガバナンス)」の意識が世界的に高揚し普及する中、世界各国の中央政府、自治体、NGO/NPO、市民、そして企業が社会課題に取り組んでいます。特に企業の場合、社会に貢献する姿勢を示さなければ、株主や投資家をはじめとするステークホルダーからの評価が損なわれてしまう時代となりました。同時に生活者の中でも、社会課題に対する企業の取り組みへの関心が高まってきています。かつては自社の利益やシェア拡大が優先されていたのが、今では企業として社会課題に取り組むことが本格的に求められるようになっています。
企業の「社会的意義」を伝えるPR
日本でPRの同義語して使われてきた「広報」という言葉。国語辞典の大辞泉では、その意味を「官公庁・企業・各種団体などが、施策や業務内容などを広く一般の人に知らせること」と記されています。日本で多くの人が抱くPRの印象は、この「広報」をイメージしており、一方的な情報伝達活動と捉えられがちです。メディアへ情報を届け、提案するパブリシティ活動はPRのアウトプット手法のひとつですが、PRの全てではありません。
本来PRは、企業・組織と社会・生活者が双方向のコミュニケーションを構築し、良好な関係を築くことを目的とした活動ということになります。

企業が社会の一員としての行動を求められるなか、PRにおいて重要なのは、従来の企業やブランドの優位性を伝えることから、「どのような社会を目指す」=「価値を提供する」企業・ブランドであるのか社会的な存在意義を伝えることになってきました。
これまで
ブランドの「優位性を生活者に伝える」
ブランド起点の機能・特徴

これから
ブランドの「社会的意義」を伝える
生活者・社会起点でどんな社会を目指すか

オズマピーアールは、「社会デザイン発想®」により、社会潮流を読み解き、世の中に「問い」を立て、ステークホルダーと共創しながら企業・団体の「ブランド価値」と、より良い世の中の実現に向けた「社会的価値」が両立する新しい「あたりまえ」をつくっていきます。
参考 パブリシティ活動について
パブリシティ活動とは新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどの報道機関に対して、企業などが事業や商品情報などのニュース素材を提供し、広く一般に報道してもらうための活動です。
パブリシティ活動の流れ

パブリシティ活動と広告の違い
主な手法 | 表現 | 露出時期 | 掲載費用 | 主な効果 | |
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パブリシティ活動 | プレスリリースの発信や、記者発表会など取材をされて記事や番組になる | メディアが編集 コントロール不可 |
メディアの判断で決定されるので原則コントロール不可 | 無料 | レピュテーション向上 |
広告 | メディアが販売する広告枠を購入して広告を投下・展開 | 企業が発信したい情報のみをコントロール可能 | 企業が発信したい時期に露出可能 | 有料 | 知名度の向上 ブランドの醸成 |