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シリーズ:私が考える“新しい問い、新しい次代”  組織のインターナル・コミュニケーションを円滑にするために必要なものとは?

この度、コラム「私が考える“新しい問い、新しい次代”」の連載を開始しました。このコラムは当社のミッションである『世の中に新しい「問い」を立てることで、未来をより良い方向に導く。』と、私たちが日々どう向き合い行動しているのかをお伝えするためのものです。第2回は「コミュニティ×サステナビリティ」の専門家であるビジネス開発本部の加藤雄一が組織と社員の評価を向上させるために必要なインターナル・コミュニケーションについて執筆しました。

オズマピーアール ビジネス開発本部の加藤です。コミュニティPR チームに所属しており、担当領域はインターナル(組織内)・コミュニケーションです。組織/チームの体制構築やコミュニケーションの円滑化、二者間の合意形成に至るまでのコミュニケーション設計などを取り扱っています。突然ですが、組織のインターナル・コミュニケーションを円滑にするために必要なものって何だと思いますか?

インターナル・コミュニケーションには“プライド&モチベーション”の意識がとても重要

組織のコミュニケーションを円滑なものにするには、そこで働いている社員の“プライド”と“モチベーション”を育んであげることが重要とされています。組織に対する“プライド”と“モチベーション”が自発的な貢献意欲を醸成し、従業員エンゲージメントや職場満足度が上がる、という考え方です。社内広報をご担当されている方は、社内の懇親や部署間の情報共有など、いろいろな企画を立ち上げながら、「どうしたらみんなのモチベーションがあがるのかしら?」と、コミュニケーションを円滑化させるアイデアを、日々お考えになられているのではないでしょうか。

なかなか進まないインターナル・コミュニケーションの取り組み

ある調査で「インターナル・コミュニケーションが上手く行っていて、高いエンゲージメントレベルを継続的に維持している企業と、エンゲージメントレベルが低い企業では、一年後の業績(営業利益率)の伸びで3倍程度の差が出る」ということがわかっています。驚かれる方もいらっしゃると思いますが、理屈は割とシンプルで、以下の二つの理由からこうした差が生まれると考えられています。

①エンゲージメントが高い社員は会社を中途退職しないため、業務ナレッジが蓄積される。豊富なナレッジを基に、
 業務の効率化も容易。

②所属組織に対して自発的な貢献意欲が醸成され、新規事業アイデアの創発が為されやすい。

この有名な調査を、タワーズワトソン社(現・ウイリス・タワーズワトソン社)が発表したのは2012年。今からおよそ10年前です。しかしながら、未だに部署間の情報共有不足や社員の離職率の高さに頭を悩ませている企業の担当者の方は多くいらっしゃいます。一朝一夕で出来るものでは無いですが、未だに多くの企業・団体においてインターナル・コミュニケーションを円滑にするための取り組みの重要性の理解・浸透が為されていないと感じます。

インターナル・コミュニケーション円滑化に取り組むためにまず“指標”が必要

目指すべきゴールが分かっていて、効果も実証されているのにインターナル・コミュニケーションの取り組みの浸透が進まないのはなぜなのでしょうか。それは「会社ごとに内部の仕組みが違いすぎて、体系化が難しい」というのが大きな理由の一つに挙げられると思います。組織体制や従業員規模が違えば、当然設計の内容も変わってきます。日本有数の大きな企業であれば、専門家に依頼し、その企業にあわせた人事制度などを設計してもらいながら、社内のコミュニケーションを深めていくことも可能なのでしょう。しかし、ほとんどの企業で、そうした取り組みを行うことが難しいのが現状ではないでしょうか。多くの企業は、「インターナル・コミュニケーションにおける指標が無いから目標が定められない。目標が定められないと社内の予算が認められない。予算が無いと、取れるアクションが限られる」という状況に苦しんでいるのはないかと思います。その結果、どうしても、インターナル・コミュニケーションを円滑にするための取り組みは後手に回りがちです。こうしたことから、誰でも簡単に扱うことができて、かつ明確な目標設定ができるインターナル・コミュニケーションにおける指標が必要であると考えます。

指標+サステナビリティへの理解=インターナル・コミュニケーションはさらに円滑に

インターナル・コミュニケーション円滑化のために指標が必要であると考えると同時に、企業のSDGsへの取り組みも社員のプライドやモチベーションに影響を与え、結果的にインターナル・コミュニケ―ション円滑化につながる重要なファクターであると考えています。SDGsは「我々が生活するこの世界を持続可能なものにするため、地球上のみんなで達成しよう」という目標のことです。この言葉が世の中ゴトになったことからサステナビリティやESG経営に取り組む会社も増えました。

私はSDGsネイティブと呼ばれるZ世代の学生・新社会人や企業担当者の方とよく意見交換をするのですが、ビジネスでもプライベートでも、従来の評価軸とは違ったところで世の中を見ていると感じることがしばしばあります。彼らが入社する企業を選ぶ際には初任給の高さと同じくらいその企業がサステナビリティにしっかり取り組んでいるかどうかが重要だそうです。また日常の購買行動においても、ブランドに社会的な誠実さを求めるなどの意識が強く見られます。

他方、それ以外の世代を見てみても、上記のような意識が少しずつですが顕在化してきています。「優秀な社員ほど、自社のCSR活動に関心を示す傾向」があったり、自社のSDGsへの取り組みの社内浸透に力を入れたある企業の担当者の元には、「自分の会社がこんな素晴らしい取り組みをしていることを知った。退職を考えていたが、ここで働き続けようと思った」というアンケート回答が届いたそうです。

こうした例から、サステナビリティの取り組みや思想は地球環境だけでは無く「人の内面を変える力を持つ」ということがわかります。組織のサステナビリティへの理解が“プライド&モチベーション”の醸成を促し、インターナル・コミュニケーションを円滑にすると確信しています。この仕組みを定量化させ指標を作るというのが、私が今取り組んでいるチャレンジです。

すべての人が自分のいる場所に誇りを持てる社会にするために

このチャレンジに取り組むため、4月から大学院で研究を始めました。研究を重ね、最終的に「すべての人が、自分の所属組織に誇りを持てるような社会をコミュニケーションの力で実現させる」というのが私の目標です。まだまだ大きな目標の端緒に就いたばかりですが、これを読んで下さった方の中で「協力してやっても良いぞ」という方がいらっしゃれば、ぜひyu_kato@ozma.co.jpまでご連絡を頂けると嬉しいです。

加藤雄一

ビジネス開発本部 コンセンサスPRチーム
ソーシャル・ファシリテーター/プラチナマイスター

外資系証券会社などで、およそ10年間の金融営業を経験した後、出版社での広告営業を経て現職。出版社では“趣味”を軸とした専門性の強いコンテンツを活用したプロモーションの企画立案や、様々なファン向けのイベントのプロデュースを手がけ、行政が主催するシンポジウムの企画立案・実施運営まで業種を問わず幅広く担当。地方創生を絡めた、地域住民との合意形成業務などではファシリテーターも務める。現職では、サステナビリティとPRを紐づけた領域の業務を推進しており、“持続可能な社会”の実現を広く世に伝える「プラチナマイスター」として社会課題解決に取り組んでいる

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