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【開催レポート】「占いちゃんは決めきれない!」企画展 -PR会社発コンテンツのこれまでと今後の展望

「占いちゃんは決めきれない!」

現代女性の自己肯定感の低さやSNSに翻弄される姿、年齢に応じて変わる価値観をテーマにした「占い×マンガ」コンテンツ。現代女性が直面しやすい悩みに対してアプローチするストーリーは、プロデューサー岩見自身の実感・経験をベースに構成。おしゃれでかわいいエイティーズタッチの作画に、現代的でリアルな物語展開が反響を呼び話題となる。『arweb』(主婦と生活社)での連載開始後、公開されるたび約2万PVを記録する。

目次
・「占いちゃんは決めきれない!」企画展開催レポート
・PR会社発コンテンツのこれまでと今後の展望
  (コンテンツプロデューサー 岩見 めぐみ)

「占いちゃんは決めきれない!」企画展開催レポート

「占いちゃん」の世界観を空間に表現

作品個展「迷える子羊感謝祭」が開催されたのは、東京原宿のギャラリー。マンガやイラストの展示をメインに、占いちゃんをイメージしたコラボドリンクやオリジナルグッズの販売のほか、週末には占い師を招いた無料鑑定イベントが行われました。
1階のカフェから階段を上ると、目に入るのは壁一面に広がる「占いちゃん」のイラスト。ずらりと展示されたパネルにはストーリーの転換点となる象徴的なシーンやセリフがピックアップされ、シーズン1をダイジェストで振り返ることができました。「占いちゃん」の世界観が表現された空間で、来場者の方々には展示鑑賞やフォトスポットでの記念撮影、グッズのお買い物などを楽しんでいただく内容となりました。

どこを切り取っても“映える”ように計算したレイアウト。占いちゃんの館「マヌル」のリアル看板も!

パネルの並びは登場人物の関係の変化に合わせて。占いちゃんの奮闘ぶりや登場人物のインパクトのあるセリフが目を引いた。

イラストはエイティーズの「エモい」雰囲気。目の位置や前髪の太さ、洋服の丈感まで、プロデューサー岩見のこだわりが詰まっている。

リーチ数は100万以上! 来場は20~30代女性中心

来場者はWeb連載の読者をはじめ、Instagramで興味を持たれた方など、20~30代の女性が目立ちました。プロデューサーの岩見がお話を伺うと「占いちゃんと自分の経験が重なる」「友だちの話にそっくり」「今、まさに占いちゃんと同じ状況なんです!」など共感の声が多数。中には、「占いちゃんきっかけで占いに興味を持ち、タロットを始めた」という方も。読者の方々と実際に対面して交流を図る貴重な機会となりました。同時に、来場いただいた国内外のインフルエンサーの方々のSNS発信により、さらに多くの方に「占いちゃん」に触れていただくことができました。

占いちゃんのイラストがプリントされたオリジナルTシャツとトートバッグは完売!

【PR会社発コンテンツのこれまでと今後の展望】

ブランドデザイン部 コンテンツプロデューサー 岩見 めぐみ

―「占いちゃん」の始まり

PR会社がコンテンツを作ったらどうなる? 実験的なプロジェクト

「情報発信や企画のプロであるPR会社がコンテンツ制作を行ったらどうなるのか?」という発想から社内に発足したコンテンツチームに配属されたことが、そもそもの始まりでした。
私たちPRパーソンはクリエイターやアーティスト、デザイナーでもないので、やりたいクリエイティブのベースがあるわけではありません。そのような中、たまたま居酒屋で聞いた「占い師は自分のことになるとうまく占えないらしい」という話をきっかけに企画の骨子を作っていきました。そのあとは、一緒にマンガを作っていくチームビルディングを行い、出版社に連載を打診、企画が実現していきました。連載がスタートしたのは、企画からわずか4カ月後のことです。

―コンテンツづくりについて

多角的な広がりを見すえたキャラ・絵柄・ストーリー構成

絵柄については「どこを切り取ってもステッカーにしたくなるマンガ」をコンセプトに、若い世代にじわじわ刺さっていたエイティーズの色調やタッチを意識。キャラクターの絵だけを見て「ひと目でかわいいと思うかどうか」「スマホにこの絵のステッカーを貼りたいか」などをポイントに検討を重ねました。ストーリーは、将来的に映像化なども企んで“お決まりの展開”がある構成に。連載先は、“おしゃれ・かわいい”の分野で印象づけしやすくなるようにファッション誌がいいなと思っていました。中でも女の子を表現するワード開発が特徴的で、まるでビジュアルブックのような誌面デザインが印象的な雑誌『ar(アール)」がぴったりだと感じ、掲載の相談をしに伺いました。『ar』の誌面では“他者評価”よりも“自分が好きな自分でいること”への意思とヘルシーな思考がしっかりと伝わってきます。そういった意味でも、占いちゃんのテーマとよくリンクしているので、連載先として快諾いただけたことにとても感謝しています。

主人公の占いちゃんは敏腕占い師で、人の悩みに対しては的確にアドバイスして導くのに、自分のことになると優柔不断。誰もが、会社や学校で見せている“表”の顔だけではなく多面的な表情を持っていて、それは二重人格でも八方美人でもありません。その人間味こそ、当コンテンツでは肯定したいなと思っているポイントのひとつです。この考え方はコンテンツの存在そのものとも結びつきを持っていて、「占いちゃんがビシバシ導く占いコーナー」の回と、「占いちゃんのダメダメな私生活が描かれるマンガ」の回を並行して行っていました。占いコーナーでは占いちゃんを信頼できるけど、マンガを覗くと占いちゃんの優柔不断っぷりにツッコミたくなる。カセットテープのA面とB面が同時に回っているようなイメージです。

―施策について

人のつながりやご縁から、新しい展開が生まれる

先日、占い師さんに「占いちゃん」の今後を鑑定していただいたら「“棚からぼたもち”のことが多い」と言われました。本当にその通りで、連載当初は自分から「お願いベース」で周囲に働きかけていましたが、いつの間にか相手から声をかけていただくことが多くなりました。今回の企画展もたまたまこちらのギャラリーのアーティストにロゴを制作いただいたというご縁から。普通ならまだ作品展を開くことのできない規模のコンテンツですが、皆さんのご協力があって実現しました。
「占いちゃん」では2~3カ月ごとに、LINEスタンプの販売、LINEマンガへの掲載、オリジナルグッズの販売など、連載とは別に新しい情報を発信しています。通常の作品と違って小回りが利くので、数字が見込めないと実行しにくいことにも精力的に取り組んでいます。この“常に盛り上がっている感”が、周囲のモチベーションアップにつながっているのかもしれません。

―ファン・読者との関係性

他にはない距離感の近さ! 読者の声に応えるスタイル

連載当初は読者がついてくれるのか不安がありましたが、1記事1万PVでヒットと言われているWeb記事のなかで、「占いちゃん」はほぼ毎回2万PV以上を獲得。見てくださる方がいたので成長してこられました。

最新話を公開するたび、読者の方からInstagramにDMが届くのもこのコンテンツならではだと思います。そのほか、「こういうグッズが欲しい!」や「こんなイラストを描いてほしい!」など、いただいたオーダーにはできるかぎり応えるのが基本的なスタンスです。LINEスタンプなどはまさにその賜物。また、読者の方の声は作品内にも影響していて、登場人物の名前を投票で決めたり、占いちゃんのお洋服へのリクエストに応えたりするなど、ストーリーとは別に見どころを作っています。さらに、読者の方とのコミュニケーションで生まれたグルーヴは大切にしていて、読者発信の情報に乗っかって「みんなはどう思う?」と質問コーナーやエピソード募集を行うことで関係を深めています。中でも、「は? と思った恋人の行動」や「あなたの推しソング」、「今食べたいラーメン屋さん」などは本編とは全く関係がありませんでしたが、これまでDMを送ってくれたことがない方々からもたくさんの情報が届き、盛り上がりました。占いちゃんのInstagramがひとつのメディアとして機能しているところが面白いなと思います。

ファンのリスクエストから生まれたオリジナルグッズの数々。
―「占いちゃん」のこれから

ファンも企業も! みんなで“遊べる”コンテンツへ

「占いちゃん」はシーズン2を迎えます。これまでは絵柄もストーリーも120%ディレクションしてきました。“かわいい”は個人の好みの問題。だからこそ一人が統括し、ブランドとして確立することが大切でした。
ファンの方たちと関係性を築くことができた今、これからはビジネスにつながるよう、もっとプロデューサー業にシフトチェンジしていこうと考えています。そのためには、マンガとアニメで絵のタッチが異なる場合があるように、原作との違いを許容する懐の深さが必要になってくると思っています。もちろん現在の「占いちゃん」を面白い、かわいいと思ってくださっている方たちの思いを大切に、段階を踏みながら……ですが。難しさもありますが、「一緒にやってくれる人を信頼する」というフェーズに私が移らないと、このコンテンツはこれ以上大きくならないので。

次に目論んでいる目標は、ずばり映像化です。占いちゃんのファッションが好きだという声が多いので、衣装の協賛をはじめ、映像のなかでキャラクターが着用している洋服をその場で購入できるスキームづくりなども手掛けてみたいです。「占いちゃん」はクリエイターの作品ではなく、PR会社の取り組みの一つ。どのようなことにも挑戦できるのが良いところです。メディアとして活用していただき、ますます盛り上げていこうと考えています。
夢は「占いちゃん」ファンやターゲット層の方たちと一緒に新しいものを作り上げること。「自分が好きだから」「一緒に何かやりたい」というコンテンツに対する思いは、企画への熱量や良い提案につながります。さまざまなことを仕掛けて、皆さんに「なんか面白そう」「関わっていたら良いことがありそう」と思われ続けていきたいです。

―コンテンツプロデュースについて

必要なのは、PR発想と人を巻き込む・動かすチカラ

私は絵を描くこともロゴを作ることもできません。何かをやりたいと思っても、協力者がいないとできないことばかりです。そして人を動かすことはハードルがとても高い。「占いちゃん」も、個人的な「マンガを作りたい」という思いだけではきっと実現しませんでした。背景に現代女性の自己肯定感の低さや他者評価への過度な恐怖心といった社会的テーマをすえたこと、賛同いただける協力者を得たことから、より多くの人に耳を傾けてもらうことができました。

今回のプロジェクトを通して、コンテンツの立ち上げ方や人の巻き込み方を一から学ぶことができました。マンガに限らず、コンテンツは誰と何をつなげるか、世の中の動きに対してどのようにアプローチするかがとても大切です。これはPRパーソンならではの感覚、感度のようなものがあるから考えられるのだと思います。ビジネスになるところまでイメージしながらモノづくりをすることは本当に“PR”。この経験を活かしもっと広げていくために、第二、第三の矢を放っていきたいです。

■コミックス第1巻 購入リンク
https://sutekibooks.com/items/book008/
※同時に電子版も発売中

■コンテンツ情報
【漫画&占い】「arweb」(主婦と生活社)https://ar-mag.jp/ 
【公式サイト】https://www.uranaichan.net/
【Instagram】@uranaichan_official

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