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地域の技術や産品に光を当てふるさと納税返礼品をブラッシュアップ!美濃加茂市×BEAMS JAPANで取り組んだ3年間

オズマピーアールでは、岐阜県美濃加茂市のシティプロモーション事業に携わっています。その一環として、2020年度から3年間にわたって実施したのが、BEAMS JAPAN(ビームス ジャパン)による、ふるさと納税返礼品の開発・監修です。

コミュニケーションのひとつのカタチとして、情報やストーリーだけではなく、実際に「モノ」の開発にPRチームが携わった事例をご紹介します。

・美濃加茂市 美濃加茂市役所 経営企画部 秘書広報課 広報係長 渡邉 峻哉
・株式会社ビームス PD本部ブランド部 ビームスジャパン課 近藤 洋司
・株式会社オズマピーアール ブランドデザイン部 入澤 綾子

■美濃加茂市の資源をどう活かすか?BEAMS JAPANに単刀直入に相談してみたら

入澤綾子(以下、入澤):2020年度から始まった、BEAMS JAPANによる美濃加茂市ふるさと納税返礼品の開発・監修が3年間無事に走りきりました。

プロジェクトのはじまりは、2018年で、美濃加茂市の当時の広報係長が、BEAMS JAPANの方がパーソナリティを務めるラジオ番組を聴いていたことがきっかけでした。日本をキーワードに幅広いカテゴリーのコンテンツをキュレーションするBEAMS JAPANと、ぜひ一緒に美濃加茂市の魅力発掘を新たに「モノ」にフォーカスしてできないかとご相談いただきました。ただ、事業のかたちをどうするかというのはなかなか定まりませんでしたね。

渡邉峻哉(以下、渡邉):そうなんです。これはもう、モノを扱うプロであるBEAMS JAPANさんに率直に相談してみよう、ということで、2019年の春に突然お話を持ち込んでいったというのが経緯ですね。美濃加茂市にはこんなに素敵な事業者さんたちがいて、魅力的な資源があるけれど、決して観光地ではないため、なかなか皆さんに知っていただく機会もない。。どういうモノの見せ方をしたらいいでしょうかと。

何度かディスカッションを重ねていくうち、タイムリーなことに、別の自治体で先行してBEAMS JAPANによるふるさと納税返礼品の監修プロジェクトが始まったことも拝見しました。これも参考にしながら、美濃加茂市でも国の交付金を申請して、3年間の事業計画で進める方向性が定まっていきました。

ふるさと納税の返礼品開発・監修という事業には、いくつものメリットが挙げられます。市に税収が入るという直接的な利点もあります。商品を開発する事業者にも収入が確保され、さらにはその後も自走して商品開発や販路開拓につなげていく機会にもなります。

また、私たち美濃加茂市では、若い世代の定住を重要な課題と捉えています。ビームスという、若い世代に人気のあるブランドが監修につくということは、「BEAMS JAPANさんと関われるようなすぐれたプロダクトをもつ事業者が市内にいくつもある」ということを、彼らに知ってもらうきっかけにもなりますよね。

入澤:シティプロモーション事業として、大きな意義がいくつも生まれるプロジェクトでしたね。

美濃加茂市・渡邉峻哉氏(左)、BEAMS JAPAN・近藤洋司氏(右)

■1年目は突然のコロナ禍。まずは見せ方を変えるところからスタート

入澤:無事に2020年度からスタートできることになったのですが、コロナ禍という誰にとっても想定外の事態が起こりました。岐阜と東京のあいだで、どうしても移動の制限がかかってしまう中での始まりとなってしまいました。

やはり監修をするBEAMS JAPANさんとしては、事業者さんとは直接お会いして話を進めたかったという思いがありましたよね。

近藤洋司(以下:近藤):そうですね。事業者の方には、どういった背景でものづくりをされているかなど、事前にエントリーシートを作成していただき、拝見しています。

でもそのシート通りに開発・監修を進めるというよりは、2回、3回とお会いして話をする中で、実は事業者さんも気づかないまま眠っているような事業のアイデアや商品を再発見することはよくあります。それを見つけ出したいという、宝探しのような感覚をもって通常は進めているんです。

それが今回は最初からリモートでの打合せになってしまって……。お互いまだリモート会議にも慣れていなかったですし、相手の温度感もわかりにくくて、最初はやりづらかったなというのが率直なところですね。

手探り状態の中でスタート。美濃加茂市役所が各事業者を訪問しリモートで繋いだ。

入澤:秋ごろにようやく現地にうかがえるようになって。そこから事業者さんにも急ピッチで準備を進めていただいて、冬のふるさと納税ラッシュにようやく間に合わせることができました。

渡邉:1年目は、事業者さんのうち半分ほどは新しい製品の開発というよりは、BEAMS JAPANさんのアドバイスをいただきながら既存の製品を更に手に取ってもらいやすくなるにはどうすれば良いかという観点からの監修となりました。

近藤:福善刃物工業さんの剪定鋏や、Image Craftさんの安江式まじかるピンチハンガーなどは、製品自体はまったく変えていないんです。もともと品質が良く、魅力のある製品ですから。

私たちがアイデアを出したのは、例えば剪定鋏のパッケージがホームセンターの吊り下げ用デザインだったのを、海外の工業製品のようなデザインの、ライフスタイルにこだわりがある層に響く箱に変えること。ピンチハンガーについては、その機能性の高さを伝える文言やECサイトについてアドバイスをする、といったことでした。さらにこの二つの製品は、BEAMS JAPAN各店の店頭やBEAMS公式オンラインショップでも販売させていただくことにもなりました。

渡邉:剪定鋏については、それまで月に数件だった寄付が、パッケージの変更によって30〜100件ほどに増えました。実際に数字が動いたのを目の当たりにして、効果のほどを実感しましたね。

フォントや色など試行錯誤を繰り返し新しく開発したパッケージ。

■2年目は地元の生産者とも連携、ゼロから開発した商品が増加

入澤: 2年目はフードの商品開発、そして地元の木材・アベマキなど、美濃加茂市の土地のストーリーをもっと伝えようという商品開発が1年目以上に増えました。

渡邉:地元の洋菓子店「パティスリーランド」のシフォンケーキは、ゼロから新しい商品を開発した事例のひとつです。地元の食材も取り入れたものにしたいということで、市役所の農業担当に間に入ってもらい、生産者の方とつなぎながらどんな商品にしたいかを検討していきました。

近藤:もちろんおいしさや品質も大事な要素ですが、農業担当の方にも入っていただいたことで、地元食材を原材料として安定して供給できるかといった製造面での条件も検討しながら決定していきました。

最終的には、「パティスリーランド」の商品開発では、単独でも事業に参加してくださった春見ライスさんが提供する岐阜県ブランド米「ハツシモ」の米粉や、岐阜県産のブランドいちご「濃姫」を使用させていただきました。どちらも素晴らしい美濃加茂市の地元食材ですね。

「パティスリーランド」と「春見(かすみ)ライス」をはじめ、参加事業者同士がコラボレーションしたケースも少なくない。画像は、「パティスリーランド」の岐阜県ブランド米「ハツシモ」の米粉を使ったシフォンケーキと岐阜県ブランドいちご「濃姫」を使ったコンフィチュール。

■3年目は、模索し続けた体験型コンテンツを実現

入澤:そして2022年度は、「体験型」の返礼品が登場しました。それまでの2年間、ずっとやりたいと思いながら叶わなかったものが、やっと実現できたんですよね。

渡邉:美濃加茂市では、千年経っても変わらない風景を残す里山再生事業「里山千年構想」に力を入れています。その一環で竹林も整備し、竹の再利用を進めているのですが、その竹を使ったコップづくり、箸づくりの体験を用意しました。

近藤:この竹のコップづくりの写真、返礼品サイトに写っているのは実は私の手なんですよ(笑)。実際に体験すると、無になってただただ竹を削るという作業に没頭できて、本当に楽しかったです。

渡邉:「美濃加茂市に足を運んでいただく」ことは本プロジェクトのひとつの大きな目標でもありましたので、体験型コンテンツを実現できたことについては思いもひとしおです。

近藤:「モノ」から「コト」へ、という体験型の返礼品は、今の時流にもマッチしています。メディアからの問い合わせに対しても、商品単体に比べてより引きが強いので、そのあたりも意識して、開発したいという思いはずっと持っていました。

また、私は美濃加茂市の「里山千年構想」に感銘を受けていて、この構想に紐づくような返礼品を実現したいとずっと考えていました。3年目で美濃加茂市らしさを示せるものがそろったなという思いはありますね。

実際に体験するBEAMS JAPANチーム。現地へ足を運んでもらいやすい空気に戻ってきたことで「体験型」が実現。

■事業者の自信につながり、市民にはよりまちを好きになってもらうために

入澤:3年間あわせて67品、全てに思い入れがあって語りつくせません。私たちPRチームにとって、美濃加茂市のブランディングにつながるストーリーや思いが乗った「モノ」そのものからつくるというところが挑戦でした。

モノを作って売る視点を横で学ばせていただきながら、市と事業者、BEAMS JAPANと事業者、事業者同士、そして完成後はモノと生活者を繋げるというリレーションズ活動を通じて、事業に貢献できたかなと思います。

渡邉:美濃加茂市としてはまず、ふるさと納税の寄付額について明確に実績が残せて、税収増につながったことは大きな成果です。

また、シビックプライドの醸成という意味では、BEAMS JAPANと組んでここまで商品開発ができる力のある事業者が自分のまちにある、それを知ってもらうことにも意義があります。

それが将来的にはまちへの愛着につながればよいと思いますし、就職するときの選択肢にも、地元の事業者が候補に入る可能性も広がってきます。そういった希望も、3年間やってきて感じるようになりましたね。

入澤:事業者の皆さんにとってはどのようなプロジェクトになったでしょうか。

渡邉:事業者にとっては、BEAMS JAPANとの関わりを通して、これまでになかった経験値を積み上げることができたのは大きかったと思います。

BEAMS JAPANさんから新しい視点をいただくことも得がたい経験です。でもそれ以上に、BEAMS JAPANさんのアドバイスをもとに、自分たちで何ができそうかを考えるきっかけができたことが最も大事なことだったと思います。

近藤:監修させていただくからには、ふるさと納税の数字の結果にきちんと責任をもたないといけないのは間違いありません。一方で、関わる事業者の皆さんにとっては、返礼品に向けた商品開発や監修だけではなく、さらにその先も見据えることができる事業にしたいと思っていました。

寄付金額を手が届きやすい1万円から2万円程度の返礼品で統一すれば、税収としては伸びるかも知れません。しかしその価格帯にフィットしないけれど素晴らしい技術やアイディアを持っている事業者もいるわけです。返礼品としての数字が必ずしも伴わなくても、ふるさと納税をきっかけに認知が広がり、通常の販路で結果につながる可能性も大切にしたい。

地域の事業者の良い製品にちゃんと光を当てる作業をして、それが事業者さんにとって良い機会となってくれれば、私たちとしてはそんなに嬉しい話はないですね。

渡邉:今回のプロジェクトで初めて繋がった事業者、生産者の方もいらっしゃいますが、こんなに素晴らしい方々が市内にはたくさんいらっしゃるのだと改めて感じました。事業者さんにはこれを機に自信に繋げていただいて、その事業者の視点で美濃加茂市をいっそう盛り上げていっていただきたいですね。

私たち市の広報担当としては、市民の皆さんに自分たちのまちを好きでいてほしい、というのが目標になります。今回できた繋がりも活かしながら、今後もまちへの愛着や定住意識の更なる醸成を継続していきたいと考えています。

<美濃加茂市ふるさと納税返礼品取り扱いサイト>
■ふるさとチョイス:https://www.furusato-tax.jp/city/product/21211
■ふるなび:https://furunavi.jp/Municipal/Product/Search?municipalid=919
■さとふる:https://www.satofull.jp/city-minokamo-gifu/
■楽天ふるさと寄附金:https://www.rakuten.co.jp/f212113-minokamo/
■セゾンのふるさと寄附金:https://furusato.saisoncard.co.jp/city.php?n=212113

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