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シリーズ:新しい時代における新しい当たり前について/②ヒトと社会の新しい当たり前

【変化の時代にあっても、ヒトと同じであることに安心し、これまでと同じものを選ぶ】

新型コロナウイルスの流行により、「この先の生活はどうなってしまうのであろう」という不安や、これまでの社会常識や行動習慣を変えざるを得ない状況になり、社会的不確実性が高まっています。

そのような情勢の中、ヒトと社会との関係性はどのように変化したのでしょうか?  

緊急事態宣言中に当社が行った生活者調査によると、生活者は、良いもの・使い慣れたものを選ぶ保守的なマインドであり、「新しいものを試すより信頼あるものを選びたい」と考えているという結果が出ました。また「新しい商品・サービスを試したい」というニーズは前出の項目と比べ、30ポイント以上低い結果になりました。

この調査結果から、周りのヒトと同じ行動をとることに安心感を覚えたり、これまでと同じモノを繰り返し選ぶようになったりと、生活者の意識は“同質化”し、消費行動については“保守化”が進んでいるのといえるのではないでしょうか。新しい生活様式が求められる”変化”の時代においても、人々の深層意識の中では、「リスクを極力回避したい」という思考が根底にあるのだと思われます。

使い慣れたものや信頼できる商品サービスが生活者から求められている環境において、企業のブランド戦略についても、「安心・信頼」といったイメージを醸成していくようなブランディング活動が今後重要になっていくことが予想されます。

【こんなときだから、「自分も社会の一員である」と思うヒトが増えた】\

そして、新型コロナウイルスの流行は、「自分自身も社会の一員である」という社会性を改めて意識させる契機になったともいえます。

実際に当社の調査でも、“日本を守るためには自粛は必要である”今は、自粛することが社会のために自分ができることであるに関して、「あてはまる」「ややあてはまる」といった回答が8割を超えており、自粛そのものが広く受容されていたことが見てとれます。

こうした意識は、外出自粛などにより社会との接点が減少し、ヒトとヒトとの間に物理的な距離が生じた一方、新型コロナウイルスというわたしたちの生活を脅かす現実的脅威に対して、「自分が社会にとってできることはなにか?」という問いとともに、連帯意識が芽生えた結果だと言えます。

ただ、「自分も社会の一員なのである」という社会への帰属意識の高まりは、自分たちの社会を乱す行動や、自分たちに非協力的な行動に対して、過剰な拒否感情を発生させる可能性もあります。

それは企業に対しても、同じく向けられる感情であるといえます。同じ方向を向いて生活するヒトが増えたからこそ、企業に対しても、「社会の一員として行動すること」を求めるようになったといえます。

【いま企業に必要なことは社会の潮流を見極める広報の眼】

企業に対しても、社会の一員としての行動を求める風潮の中、企業と社会との接点としての役割を担う“広報”がとても重要な仕事になってきています。

当社の調査でも、新型コロナウイルス流行前に比べ、約3割(29.8%)の人が企業(企業ブランド)の発信している情報を知る機会が増えていると回答し、コロナ禍において生活者は、平時と比べより関心を持って企業の発信する情報に接触していることが伺える調査結果となっています。

これまで広報ネタとして積極的に情報発信がされてこなかった企業の社内向け取り組みについても、生活者から評価される環境にもなっていることも明らかになりました。調査では、「会社は自粛しながらも、従業員への補償を明確に打ち出している企業を評価する」といった声もあり、企業の従業員に対しての取り組みに対して注目が高まっています。

顧客やユーザーに配慮する姿勢と同じように従業員にも寄り添うことが、生活者から評価され、企業のブランディングにおいて重要な要素となっていることが伺えます。

そのような企業姿勢と、それを世の中に発信していく広報力が問われる時代になっているのかもしれません。

※2020年515日に「新型コロナウイルスに関する生活者調査」について当社よりプレスリリースを公表しておりますので、そちらもご参照ください。

https://ozma.co.jp/announcement/news-20200515/

社会潮流研究所 研究員
丹場 大輔

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