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【開催レポート】 イシュー研究会 第5回「ソーシャルセクターから見た企業活動のリスクと、インパクトを生み出すための連携の可能性」

社会課題を起点としたルール形成(パブリックアフェアーズ)を提供するオズマピーアールパブリックアフェアーズチームが運営する「イシュー研究会」は、2022年4月27日に本研究会の5回目として、SDGs市民社会ネットワーク 理事の長島美紀氏を講師に「ソーシャルセクターから見た企業活動のリスクと、インパクトを生み出すための連携の可能性」と題した会を開催いたしました。

長島氏の講演では、

●企業とNGO・NPOなどのソーシャルセクターとの連携が求められている背景に、SDGsへの取り組みがある。SDGsの根幹には「誰一人取り残さない」という人権への配慮があるが、企業は利益を中心に考える傾向があるため、なかなか人権に抵触していることに気付けない。企業が企業とのみ付き合うのではなく、ソーシャルセクターと連携することで、人権問題の把握や細かい配慮ができる可能性が広がる。

●また「持続的な開発」のための環境問題への取り組みについても、ソーシャルセクターとの連携が進められている。昨今では、若者から始まった気候変動へのアクションを求める活動が社会を動かし、生活者の行動変容を促している。またアクティビストが企業の環境問題への取り組みを注視したり、株主提案をしたりと、企業活動に大きな影響のあるトピックスとなっている。

●例えばNPO法人Malaria No Moreでは、マラリア流行地域における企業連携を進めている。2014年にザンビアで検査キットを300万セット配布することとなり、現地で行われているアナログなデータ管理からIT技術を活用したロジスティックの改善を実現。Malaria No Moreの取り組み以外にも近年では携帯のGPS機能を使って集約された人の移動状況と気象予測などのデータを分析することでマラリアの流行を予測、予測情報を元に事前に備蓄準備できるようになることを目指す企業と研究者の取り組みなど、複合的な課題について既存のIT技術を活用して課題に取り組んでいる。

●ソーシャルセクターの強みは、法律などの知見、データに基づく政策提言活動、当事者の声を集めることなどがある。そうしたソーシャルセクターと連携することで生まれる可能性は①目指すべきビジョンを多くの人と共有できる、②協働することによる付加価値の創造やリスク回避ができる、③新規技術だけではなく既存の技術やノウハウで課題解決ができる、④消費者への普及活動により事業価値を理解してもらえる、が挙げられる。

●どのような課題の解決であっても、ひとつの企業や、ひとつのソーシャルセクターだけが考え実施するだけでは広がらない。他の企業や団体に真似してもらうことが可能なスタイルをつくっていくことでインパクトが生まれる。

など、NGO側で取り組んできた経験を踏まえ、実際の事例などをもとにお話しいただきました。

当日参加された方々からは、

●「ソーシャルセクターにはどこまでの協働をお願いできるものなのか。アドバイザーとして入っていただくだけでなく、事業にもっと関わってもらうことはできるのか」

●「ソーシャルセクターと連携したいと考えているが、マッチングするスキルが企業側にない。どのような探し方をして、どのような問い合わせをするのが良いか」

●「国際NGOや国内のNGO、パートナーとして組む場合に大きな違いはあるのか」

などの質問が出され、企業側からのコメントをいただきました。

イシュー研究会は、今後も毎月1回のペースで継続的に開催いたします。


【イシュー研究会について】

イシュー研究会とは、「倫理や社会規範、世論等に基づく新しい社会課題(=イシュー)」のメカニズムを研究し、イシューが企業に引き起こすコンフリクトや新たなビジネスチャンスを可視化し、ソリューションについて共創するプロジェクトです。
 

●本研究会の機能
①【研究機能】倫理や社会規範、世論等に基づくイシューのメカニズムの研究
②【共有機能】イシューが企業に引き起こすコンフリクトや新たに生み出すチャンスの可視化・共有
③【共創機能】イシューに基づくコンフリクトを解決するソリューションの共創
 

●構成メンバー
【顧 問】
株式会社オウルズコンサルティンググループ代表取締役CEO/
多摩大学ルール形成戦略研究所副所長 羽生田慶介氏

【研究員】
継続的に参加できる企業を推奨。1回のみの参加も可

【事務局】
オズマピーアール パブリックアフェアーズチーム
※他、イシューの専門家(企業担当者、有識者・NGO)ならびに
 ルール形成に関係するステークホルダーを招聘予定

 
●本研究会で扱うテーマ
①まだ争点化していないが、将来の企業活動に大きな影響を与えうるイシュー
②すでに企業活動に大きな影響を与えているイシュー
例)生命倫理、テクノロジー倫理(AI、バイオなど)、ビジネスと人権
  (強制労働、児童労働など)、地政学リスク(経済安全保障など)、
  ソーシャルメディアリスク(キャンセルカルチャーなど)、
  気候正義 等


【関連リンク】


【本件に関するお問合せ】

株式会社オズマピーアール パブリックアフェアーズチーム
TEL:03-4531-0220
Mail:public-affairs@ozma.co.jp

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