【開催レポート】 イシュー研究会 第6回「『グリーンインフラ』等の『自然資本ビジネスモデル』推進に関するスキーム試案と論点整理」
社会課題を起点としたルール形成(パブリックアフェアーズ)を提供するオズマピーアールパブリックアフェアーズチームが運営する「イシュー研究会」は、2022年5月24日に本研究会の6回目として、シティユーワ法律事務所の鈴木良弁護士を講師に「『グリーンインフラ』等の『自然資本ビジネスモデル』推進に関するスキーム試案と論点整理」と題した会を開催いたしました。
鈴木弁護士の講演では、
●社会課題に対する意識が世界的なルールを形成し、そのルールがビジネスの枠組みになる傾向が強まっている。気候変動や生物多様性に関する国際的な枠組みが定められている自然環境についても、「コーポレートガバナンスコード」で上場企業に気候変動リスクの情報開示が求めるなどの動きがある。また、こうした法的拘束力のないルール「ソフトロー」が近年、重要視されている上、自然への関心も広がっていることから、ビジネスへの影響がより強まっていく可能性がある。
●自然資本を重視する潮流を踏まえると、自然環境が有する機能を様々な社会課題解決に活用する「グリーンインフラ」の重要性が増すと予想され、自社グループにグリーンインフラに特化した事業会社を設立することを検討するべき。その際の課題として、①役員構成やガバナンスをどうするか(ヒト)、②地域課題解決のノウハウを持つ自治体から出資を受けられるか(モノ・カネ)、③ノウハウ等の情報管理をどうするか(情報・ノウハウ)―といった論点を整理する必要がある。
●政府は、従前からインフラの維持管理などに民間資金・ノウハウを活用する「PFI」を推し進めてきたが、近時は、営利を目的とした株式会社に公的役割を担ってもらうことを期待する動きも出始めている。実際に、日本国内において、大手飲料メーカーが今年サステナビリティ事業を行う新会社を設立したり、広島県内で官民が出資して水道事業を担ったりする事例が出てきている。
●海外に目を向ければ、ドイツでは自治体を主たる出資者として設立された会社「シュタットベルケ」が各地に1500社程度存在し、電力事業・ガス事業・上下水道といった公共サービスを提供している。複数のインフラを横断的に管理することで、ある部門が赤字に陥ったとしても別部門で補填し、全体として公共サービスの維持に努めている。地域課題のためのサービスや、自治体の出資・協定による関与、複数インフラの包括管理などは、日本国内でグリーンインフラ事業会社を広げる上で参考になる。
●地球のリソースは有限であるため、同じように資源を必要とする全ての当事者の利益に配慮するべきだ。「自分たちの」「今の」利益ではなく、「自然」や「次世代」の利益に対する配慮が求められている。
など、具体的な事例を交えながら、解説いただきました。
当日参加された企業の方々からは、
●シュタットベルケのようなモデルは自治体が主導しないと実現が難しいと思うが、ドイツは政策的なアプローチがあったのか」
●「企業がグリーンインフラ事業会社を取り組むためのインセンティブはどう生み出していくのか。また、従来の第3セクターとの違いはあるか」
●「自治体が出資者として公営会社を設立し、電力事業やガス事業といった公共サービスを担うのは民業圧迫にならないか」
など活発に意見が出され、ディスカッションが盛り上がりました。
イシュー研究会は、今後も毎月1回のペースで継続的に開催いたします。
【イシュー研究会について】
イシュー研究会とは、「倫理や社会規範、世論等に基づく新しい社会課題(=イシュー)」のメカニズムを研究し、イシューが企業に引き起こすコンフリクトや新たなビジネスチャンスを可視化し、ソリューションについて共創するプロジェクトです。
●本研究会の機能
①【研究機能】倫理や社会規範、世論等に基づくイシューのメカニズムの研究
②【共有機能】イシューが企業に引き起こすコンフリクトや新たに生み出す
チャンスの可視化・共有
③【共創機能】イシューに基づくコンフリクトを解決するソリューションの共創
●構成メンバー
【顧 問】
株式会社オウルズコンサルティンググループ代表取締役CEO/
多摩大学ルール形成戦略研究所副所長 羽生田慶介氏
【研究員】
継続的に参加できる企業を推奨。1回のみの参加も可
【事務局】
オズマピーアール パブリックアフェアーズチーム
※他、イシューの専門家(企業担当者、有識者・NGO)ならびに
ルール形成に関係するステークホルダーを招聘予定
●本研究会で扱うテーマ
①まだ争点化していないが、将来の企業活動に大きな影響を与えうるイシュー
②すでに企業活動に大きな影響を与えているイシュー
例)生命倫理、テクノロジー倫理(AI、バイオなど)、ビジネスと人権
(強制労働、児童労働など)、地政学リスク(経済安全保障など)、
ソーシャルメディアリスク(キャンセルカルチャーなど)、
気候正義 等
【関連リンク】
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【本件に関するお問合せ】
株式会社オズマピーアール パブリックアフェアーズチーム
TEL:03-4531-0220
Mail:public-affairs@ozma.co.jp
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