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代々木ゼミナール『緊急事態宣言に飲み込まれた私の受験』ショートムービー制作

PR視点を起点にした動画を、映画監督と共創するためのポイント

PR会社ならではの視点でデジタルコンテンツをつくると、どこがどう違ってくる? 何を大切にプロジェクトを始めるのか、どんなことにこだわってアイデアを形にしていくのか。映画監督・豪田トモ氏と当社が二人三脚でショートムービーを創り上げました。制作背景や撮影の現場、また相互のパートナーシップなどについて振り返りながら、「徹底的なリサーチに基づくファクトベース」など、PR視点を起点にした動画制作のポイントをご紹介します。

豪田 トモ氏
映画監督/株式会社インディゴ・フィルムズ代表
1973年東京都多摩市出身。6年間のサラリーマン生活の後、映画監督になるという夢を叶えるべく、29歳で単身カナダへ。在カナダ時に製作した短編映画は、日本国内、バンクーバー、トロント等数々の映画祭にて入選。帰国後はフリーランスの映像クリエイターとして、テレビ向けドキュメンタリーやプロモーション映像などを制作。初監督作のドキュメンタリー映画『うまれる』は2010年11月、シリーズ累計100万人を動員。最新作『ママをやめてもいいですか⁉』は2020年2月に全国劇場公開。著書に小説『オネエ産婦人科』(サンマーク出版)など。
オズマピーアールとの仕事に宣伝会議​『​ブレーン』にも取り上げられたスウェーデン発の高性能空気清浄機「Blueair(ブルーエア)」の2020年父の日動画『Happy Father’s Day, Hello New Daddy』がある 。

制作のポイント

  1. ベースは相互の信頼関係~ディスカッションは欠かせない
  2. ファクトベースにこだわる~徹底的なリサーチから抽出
  3. クオリティにこだわる~ただし、優先順位は間違えない

[ポイント1]ベースは相互の信頼関係~ディスカッションは欠かせない

――ショートムービーの制作期間が通常の半分くらいしかなかったと聞きました。

豪田:そうですね。企画、提案、準備、撮影、編集、納品……までで、2ヵ月くらい。撮影日は1日しかとれませんでした。

角田:打ち合わせの3日後には、もう監督から企画をご提案いただいて。タイトなスケジュールでしたが、終始スピード感をもってみんなを巻き込んでくださいました。

豪田:「エモーショナルなもの」というテーマに基づいて企画を立て、予算とスケジュールの観点から実現しやすいドキュメンタリータッチの案を推したのですが、クライアントはドラマタッチの案を選択されたんです。それで、スケジュール的にはハイリスクな企画になりました。どちらかというとやってみたい案、チャレンジするのは好きですし、そこは問題なかったのですが……。結果的に、結構危ない橋も渡ることになりましたよね(笑)

角田:(笑)そこも含めて、監督となら“一緒の船に乗れる。大丈夫”と感じて、お任せすることができました。確かにリスクはありましたが、「実現するためにどうするか」と常に前向きに考えることができたのが、よかったなと。

豪田:「こういうリスクがあります」って、クライアントには言いにくいじゃないですか。そこをきちんと説明していただいて、先方にも選択いただく、ということがちゃんとできていた。さすがだなと思いました。

―― ベースに相互の信頼関係があったからこそ、難関をクリアできたのですね。何かを通じて育まれた信頼だったのでしょうか。

角田:ひとつには、ディスカッションです。監督は制作意図を汲んでくださるし、ディスカッションを厭わず重ねてくださるかた。そのため、安心して前に進むことができるんです。

豪田:そうですね、意見をどんどん言ってもらえるのは大事なポイントです。僕は、天才というわけではないので……現実の、生身の人間が多くの人に伝える映像作品を創ろうとすると、やっぱり自分の枠を超えなきゃいけなくて。そのためには、いろんな人の意見を聞いて、いろんな人のアイデアを取り込んでいって、みんなのパワーやエネルギーを“ウワーっと”うねるように積み上げていく。

角田:監督はこちらの意見を「ありがたい」と受け止めてくださるのですが、それ自体、本当にありがたいことだなと振り返っています。ディスカッションできない相手と組んでコンテンツを創ろうとすると、きれいなものが上がってきて「以上終了」となりがちなので。PR会社としてこだわりたい視点が欠けてしまっては本末転倒です。

[ポイント2]ファクトベースにこだわる~徹底的なリサーチから抽出

―― 「PR会社としてこだわりたい視点」、深く伺いたいです。具体的にはどんなことですか。

角田:「誰」に向けて、「何」を、「どのように」。当たり前に聞こえるかもしれませんが、“受験生”という、自分が当事者ではない存在に寄り添うのは、簡単なことではありません。

豪田:依頼をいただくたびに心掛けているのが、“しっかりとしたリアリティ”とそのベースになる“徹底的なリサーチ”。今回も僕のサポーターズクラブの方々から受験生と保護者20人近くに、そして、ついこの間まで受験をしていた代ゼミさんのアルバイトの方々、100人近くにアンケートや取材を通じて、“受験”をいろいろな角度から理解しようと努めました。彼らはどんなことで悩んでいるのか、親子でどんな会話が交わされるのか、どういう流れから親子げんかになるのか、などの他、模試の結果はどういう状況で見るのか、模試に制服を着て行くのか行かないのか、などの細かい点も確認しましたし、受験生あるあるなども含めて、彼らには計5回近く、徹底的に聞きまくって台本に起こしていきました。

角田:端的に「ファクトベース」という姿勢が大事だと思っています。今回「やってよかったな」と思うことはたくさんありますが、リサーチはそのひとつですね。監督はすごいしっかりやってくださり、ファクトも重視いただいて。リサーチについては、クライアントも巻き込んで、一緒に汗をかけたこともよかったです。絆が一層深まった気がします。

―― なるほど。綿密なリサーチからファクトを抽出、ファクトからストーリーを紡いだのですね。

豪田:はい。取材・アンケート結果から浮かび上がった受験生の親の一番の役割は「食事づくり」ということだったので、そこに焦点を当てて。

角田:そういえば。受験生の子どもに母親がカツ丼をつくってあげる設定で、アシスタントの方とけんかまでしてシズル感にこだわっていたのに、結局あのシーン使われませんでしたね……(笑)

豪田:絵コンテ書きながら「これ使わないかもしれない」と思ったのですが。でも使うかもしれないし、使うからにはおいしそうなカツ丼を撮らなきゃ、って。(笑)ただ、僕は冷酷無比なところもあって(笑)、どんなに苦労して撮影したものでも、映像に合わないとバッサリ切っちゃうんです。

[ポイント3] クオリティにこだわる~ただし、優先順位は間違えない

―― 撮影当日は、どんな感じだったのですか。

角田:先輩に「アツい、やさしい人だよ」って監督を紹介されてご一緒してみて、特に撮影現場で「その通りだな」と何度も思いました。なんとなく豪快なイメージがあったのですが、細かいところに気を配るお仕事ぶりに感銘を受けました。

豪田:撮影を準備していて「これ、1日でシーン全部撮り切れるのかな……」と実はスタッフ一同で首を傾げていました。(笑) ただ、それを実現するために、絵コンテだけでなく、予算的には完全にオーバーだったんですが(笑)、ビデオコンテも準備してショットリストを微調整し、前入りしてカメラマンやADさんたちとすべてのショットをライティング、アングル、美術も含めて確認しました。おかげで当日はすごくスムーズに進んで。みんなの力のおかげです。とにかく“撮り終える”のが一番でした。

角田:逆に、時間がないなかで「すごいこだわりだな。プロでなければわからない部分なんだろうな」と思う瞬間があって、印象的でした。2秒くらいのところ、30分近く掛けたシーンがありましたよね。

豪田:ありましたね。(笑) あれは、なんとか撮り終えることができそうだと目算が立ったからできたことでした。本当はすべてにこだわりたいのですが、そういうわけにもいかないので。

―― クライアントがあり、納期があるなかでの作品づくりにおいては、こだわりを発揮するにも順番があるということですね。

豪田:PR系の映像の場合は、“いい作品を創る”だけでは少し足りないんです。クライアントさん、代理店さん、スタッフ、みんなで一緒に創って、みんなが喜んでくれて、みんながハッピーになれる作品が“いい作品”なのかなと思っています。

角田:はい。その意味でも、とてもいい作品に仕上がったと思います。ショートムービーの制作のほかにデジタル広告の運用もお任せいただき、手探りの部分もあったのですが、なんとか乗り切ることができました。監督のすぐ横でいろいろ教えていただけたことも心強かったです。

豪田:えっ。角田さんはいつも落ち着いていて、不安な顔を少しもみせないところがすごいなと思っていたので……。心細い思いをされていたとは気づきませんでした。

角田:本当ですか? それは監督が「角田さん、要 潤に似てるかも」と言ってくださったり(笑)、それとなく気分をほぐしてくださったおかげかもしれませんね。

PR会社とタッグを組む醍醐味は

―― 豪田監督とお仕事をご一緒するのは今回で2度目ですが、当社のようなPR会社とパートナーシップを組むメリットについて伺えますか。

豪田:そうですね、ひとつには「優秀なプロ集団とコラボレーションできる」ことですね。いろんな会社と仕事をしてきましたし、バイラル動画の作り方も心得ているのですが、今回はそういうことではなく……よりメッセージが伝わるよう、いわゆるPR視点を重視して、制作に臨みました。

角田:ありがとうございます。

豪田:これまでは企業をクライアントに動画制作することは少なかったのですが、前回のお仕事で企業さん向けの映像が「楽しくて・面白くて・意義がある」ということを、オズマさんに教えてもらいました。自分ではおそらく作ろうとは思わないであろう企画であっても、お声がけいただくことで、自分の中に潜んでいたアイデアが湧いてきたり、新しい自分を引き出していただいたような感覚ですごく楽しかったんです。僕自身、もともと代ゼミ生だったので……今回は、気持ち的に「お役に立ちたい」という思いも強かったですね。

角田:監督、早く“次”の企画を練りましょう! 次回もぜひご一緒させてください。

プロジェクトメンバー

角田 柾貴
2018年に新卒で入社以来、ITサービス、通信、家電、デザインなど、幅広い業種のPRを担当。情報開発・設計から実施まで一貫して手掛ける。特にオンライン発表会については、新型コロナ禍が本格化する前から手掛けており得意としている。最近ではデジタルPRの知見を深めることにチャレンジ中。

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