「働くことは生きがい」高齢者がいきいきと働き、何歳になっても尊敬される社会へ
2025年9月の総務省の発表(※1)によると、65歳以上の働く高齢者は21年連続で増加し、過去最多の930万人を記録しています。
そのような社会環境の中、マンション管理業界で注目を集め、成長を続けている企業があります。
平均年齢70歳・全国3780名(2026年3月時点)のシニア人材と共にマンション管理員の代行事業を展開する株式会社うぇるねすです。

オズマピーアールでは、2023年からうぇるねすのコーポレートPRを共に推進しています。結果として、PR活動によって事業成長や雇用獲得、働く人のエンゲージメント向上にもつながりました。
本記事では、社内コミュニケーションの外部発信や“働くシニア”を主役に置いたコミュニケーション活動など、約2年間にわたるPR活動のプロセスやポイントをご紹介します。
うぇるねすが取り組む社会課題 全国713万戸のマンションを支える人材が足りない― 深刻化する管理員不足と、シニア人材の育成視点
- マンション業界の課題
日本国内の分譲マンション総ストック数は増加の一途をたどり、2024年末時点で約713戸にまで増えています(※2)。
一方で、うぇるねすが2023年7月にマンション管理会社51社を対象に行った調査では、管理会社の80%が「必要な人材を確保できない」と回答し、人材不足が顕在化。
また、69%の管理会社が「管理員を育成する人材が足りていない」と答え、人材育成面でも課題があります。

- シニアの働き方の課題
厚生労働省「令和6年度能力開発基本調査」によると、OFF-JT(職場外研修)を受講した労働者は全体で37%である一方、シニアは20%と低水準になっています。
デジタルスキル研修にいたっては、労働者全体で4.5%である一方、シニアは1.5%にとどまっており、シニア人材を中長期的に育成する視点が希薄になっていることが分かります。

企業ブランド価値の向上、シニアの働き方の社会的議論喚起を目指しコーポレートPR活動を本格的に推進
以上のようなマンション業界およびシニアの労働環境における社会課題が存在するなか、うぇるねすは「マンション管理のピンチヒッター」として、平均年齢70歳・最高齢92歳の代務員と共に、全国でマンション管理代行業務を推進しています。
独自開発のスマホアプリで本人の体力・居住地・希望に合わせた勤務をマッチングするスタイルや、年齢制限のない就業ルールが支持され、2023年7月時点で2,553名の代務員が登録し、働いていました。
しかし、企業の定年延長や他業種の人手不足で、マンション管理員のシニア人材の獲得競争は激化。
持続的な成長には、既存代務員の定着・スキル向上と、新規応募(特に割合の少ない女性)の増加が不可欠な状況にありました。
こうした背景からPR活動を本格化し、企業ブランドの価値向上に加えて、シニア層の潜在的な勤労意欲を喚起すべく、シニアの働き方に関する社会的議論を促すことを目指しました。

クローズドからオープンへはたらくシニアを主役に据えた循環型PR
うぇるねすは、代務員のエンゲージメントを高めるため、交流会や勉強会を定期的に開催しています。なかでもエリアごとに年1回開催する研修イベント「うぇるねすシップ」は、そのエリアの代務員が集結し、清掃・挨拶の実演やワークショップなどをおこなう、重要な社内イベントです。
PR活動においては、この「うぇるねすシップ」こそシニアがいきいきと働き学びあう姿を体現している重要な場と位置づけました。
社内研修というクローズな場だったものを、現役シニア代務員がデジタルを使いこなし、清掃や待遇を実演し、互いに学び合うインターナルコミュニケーションの様子を、メディアやマンション管理会社などのステークホルダーに公開する“オープンな場”に。代務員の協力のもとで進化させる戦略をとりました。
実際には「取材が入ることで、仕事人として背筋を伸ばして参加する晴れの場になった」「エリアリーダーが率先して入場誘導するなど、自主的に活動する場面が増えた」などインターナルな効果が得られました。
それにより「外部評価獲得⇒社内還元⇒エンゲージメント向上⇒採用・受注増加」の好循環を生み出すとともに、「年齢を重ねても成長できる」というインサイトを刺激し、社会におけるシニアの働き方の再定義を促していったのです。



インターナルの現場×データを融合 国家資格挑戦から敬老の日調査までシニア人材の協力を得て話題化を仕掛け、働き方の議論を喚起
シニア層へのアプローチを目指して、新聞・テレビを中心に、現場とデータを融合したPR活動を展開しました。
(1)データ活用
PR活動の基礎資料として、うぇるねす独自の調査をまじえたファクトブックを制作。
日本国内のシニア労働環境やマンション戸数などのオープンデータに加えて、独自の「シニアのワークスタイル意識調査」や管理会社へのアンケートを活用し、マンション業界の人手不足という社会課題をファクトで提示しました。
(2)研修現場の取材
全国主要都市で開催する社内研修「うぇるねすシップ」にメディア誘致を行いました。
レベルの高い清掃スキルを学ぶ姿やグループディスカッションする様子など、マンション管理員のプロとしてシニアが本気で学んでいる場であることを訴求。
また、シニアスタッフの方々に事前にヒアリングを行い、多様なバックグラウンドを持ちながら働くシニアへ取材ができることも提案。
それにより休日開催の社内イベントにも関わらず、特集を含む5件のテレビ放映を実現しました。
現役シニア代務員の実演や、82歳(2026年1月時点)のうぇるねす代表の下田会長による取材対応を通じて、「個人の体力や希望に合わせた自由な働き方を提供することで、100歳でも健康に働ける豊かな生活の実現に貢献する」「高齢者がいくつになっても尊敬される社会を目指す」うぇるねすの企業姿勢を、アーンドメディアを通じて発信しました。
(3)新聞のインタビュー記事複数掲載
「人との絆が働きつづける糧」と語る80歳目前の代務員のインタビューなど、特集記事を5件獲得。また「100歳まで働く会社」という見出しで女性週刊誌にも取りあげられ、シニアの前向きで高い就労意欲を伝える報道が広がりました。
(4)敬老の日調査リリース
約1,050名の代務員のオンラインアンケート回答協力による「敬老の日調査リリース」を発信。
うぇるねす以外の働き方を組み合わせた複業シニアワーカーが4割存在することや、敬老の日の対象と考える年齢は平均で「78歳から」だったという回答を発信し、はたらくシニアの現役意向の高さを伝えると共に、女性代務員の6割がうぇるねすで働いてから「社会とのつながりを感じるようになった」と答えた点など、特に女性にとって働く意義を伝えました。
また、フリーアンサーからは、年齢や時間に縛られない考え方やシニア本人と世間とのギャップなども見えてきました。

(5)国家資格挑戦
うぇるねすは、2024年からうぇるねす独自のeラーニング「たんぽぽ講座」を開発して、マンション管理の難関国家資格「管理業務主任者」受験支援を推進しています。
年に1回開催される2025年12月の試験では411名の代務員が受験し、41名(最高齢82歳)が合格を果たしました。
その挑戦を社内研修の取材やプレスリリースで公開することで、年齢に関わらず成長できることを実証し、企業としての話題性・信頼性を高めていきました。
共に働く代務員は、女性を中心に増加 資格挑戦から新事業創出まで、シニア活躍の未来をひらき 働き方の議論を社会にひろげていく
2023年からPR活動を本格的に開始して約2年間を経た現在、PR活動以外の企業戦略やマーケティング戦略とも連動しながら、以下のような成果があがっています。
(1)人材確保
代務員が2年前に比べて1,227名(48%)増加し、3,780名に。(特に女性は448名から893名と2倍に増加)

(2)現代務員のエンゲージメント
2025年8月に約1,000名の代務員に協力をいただいたアンケートでは72%が「うぇるねすに愛着がある」と回答。
91%が「うぇるねすの企業姿勢に共感できる」と回答。

(3)事業成長
管理会社・管理組合からの受注件数は、2年前に比べて39%増加

【オズマピーアール担当者コメント】
これまでのうぇるねす様との仕事で何度も「うぇるねすシップ(社内研修)」や、代務員の皆さまのインタビュー取材に立ち会わせていただきましたが、そのたびに、何歳になっても働きながら社会とつながる喜びを感じ、質の高いマンション管理を目指すうぇるねすの代務員の皆さまと、代務員の活躍を支える社員の皆さまの姿に、私自身も刺激を受けながら、PR活動を支援してきました。
共にPR活動に取り組ませていただいたうぇるねすご担当者様からは、「弊社の『シニアが生き生きと活躍し、100歳現役を本気で目指す会社』というモットーに賛同していただき、PR戦略を練っていきました。オズマの方々には、クリエイティブのプロ視点での発信やアドバイスを行っていただけたことで、PR活動の幅を大きく広げることができました。発信し続けることで、社員のインナーPRの意識が高まったことも大きな効果に感じています。」と嬉しいお声も頂戴しています。
うぇるねす下田会長の「高齢者がないがしろにされるような社会というのは、おかしい。高齢者が尊敬されていきいきとしている世の中こそが良い世の中。そういう社会をつくりあげることに事業を通じて役立ちたい」という想いを、Public Relationsの力で社会に問いかけて、“働くシニア”の新しいあたりまえづくりに携わっていきたいと考えています。
<出典>
※1=総務省統計局ホームページ(2025/9/14発表)
「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」 https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1460.html
※2=国土交通省
「マンションに関する基礎データ」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000058.html