組織に属している人たち(民間企業社員・団体職員・公務員)の中で、実際に在宅勤務となっているのは41.8%でした。そのうち、23.2%が基本的に在宅勤務の状態であり、18.6%が部分的に在宅勤務の状態にあったという結果となっています。
私たちの生活の中で仕事に従事する時間はかなりの割合を占めています。睡眠時間を8時間として、1日あたりの労働時間を8時間とした場合、 起きている 時間の半分は仕事をしているということになります。
その時間を家で過ごすか、または会社で過ごすかによって、私たちの生活全体に大きな影響を与えます。今回の調査でも、在宅勤務を実際に経験した人たちと、経験していない人たちとの間では生活・消費行動に違いが生じる結果となりました。
まず、コロナ流行中の買い物やサービスの利用について、在宅勤務者(基本的に在宅勤務と部分的に在宅勤務を含む)は、総じてオンラインを通した買い物、サービス利用、飲み会などの機会が増えております。たとえば、「オンラインで買い物をする機会が増えた」との回答割合は、在宅勤務者だと48.4%ですが、出社している人では34.4%でした。
また、「オンラインで飲み会をする機会が増えた」との回答割合は、在宅勤務者で28.3%、出社している人では16.0%となりました。
さらに、実際にコロナ流行によってオンラインで購入・利用する機会について聞いたところ、在宅勤務者では、「映像コンテンツ」(41.3%)がもっとも購入・利用する機会が増えたと回答しており、続いて、「日用品」(40.2%)、「食料品」(37.5%)となっています。これは、出社している人の回答(「映像コンテンツ」(25.4%)、「日用品」(22.3%)、「食料品」(21.9%))よりも大幅に高い回答割合となっており、在宅勤務によって、オンライン購入・利用を行う時間、場所、動機が確保されたということが推測されます。
在宅勤務者は、今後、自身の生活においてさまざまな行動でのオンライン化が進むと予想しております。最も進むと思っているのは、「リモートワーク・テレワーク」(72.8%)で、「ビデオ会議/オンライン打ち合わせ」(66.8%)、「買い物/オンラインショッピング」(63.8%)と続いています。これも在宅勤務ではなく出社している人たち(「リモートワーク・テレワーク」(35.5%)、「ビデオ会議/オンライン打ち合わせ」(39.5%)、「買い物/オンラインショッピング」(48.0%))よりも高くなっています。この期間に実際にリモートワークやオンライン会議を経験した人たちがその有効性を実感し、今後もオンライン化が進むと回答しているものと思われます。
今後、生活・消費行動のオンライン化がさらに広がることが見込まれますが、そこには働き方の変化が大きな影響を及ぼしうることが今回の調査でも確認できました。一方で、仕事の拠点が「会社」という物理的空間から解放された在宅勤務者とそうでない人たちとの間にオンラインサービスの利用頻度に大きく違いが出る可能性もあります。
ただ日本全体としては、リモートワークの利便性を社会全体として共有化することによって、業務的に可能な企業はリモートワークの導入がさらに進み、日本の生活・消費行動が急速にオンライン化することが予想されます。いわゆるニューノーマル(新常態)において日本の消費構造が急速に変化し、その変化に伴って、企業の生活者に対するコミュニケーションの取り方も大きく変わっていくことが見込まれます。
※2020年5月15日に「新型コロナウイルスに関する生活者調査」について当社よりプレスリリースを公表しておりますので、そちらもご参照ください。
https://ozma.co.jp/announcement/news-20200515/
社会潮流研究所 研究員
古橋 正成
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