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< 社会潮流研究所|在住外国人インサイト調査2021(前編)>~在日台湾人とは「少し砕けた接し方」がポイント!~ 日本在住台湾人157名に、来日後の日本人との付き合いに ついて調査|日台で距離の縮め方にギャップ!

法務省出入国在留管理庁によると、令和3年6月末の在留外国人数は282万3,565人でした(2021.10発表)。コロナ禍でも依然多くの外国籍の方が日本に在住している中、私達は在住台湾人157人を対象に、日々の生活の中での日本人との付き合い方や感じている本音に迫る調査を行いました。題して「在住外国人インサイト調査2021」です。

調査を通して日本が在住外国人のみなさんと接する際の関係構築、そして今後来日されるであろう方が日本での暮らしに慣れていくためのヒントを得られました。このコロナ禍で帰国もままならなかった在住台湾人の方々と接する際、また感染状況が落ち着き、再び多くの方々が来日される環境になった時に、この調査が両者のコミュニケーションの一助となれば幸いです。

< 社会潮流研究所|在住外国人インサイト調査2021(前編)>

~在日台湾人とは「少し砕けた接し方」がポイント!~
日本在住台湾人157名に、来日後の日本人との付き合いについて調査|日台で距離の縮め方にギャップ!

株式会社オズマピーアールの社内インキュベーション組織「社会潮流研究所」では、様々な社会課題について研究を行っています。そのうちの一つとして、近年注目されつつある多文化共生のヒントを探るべく、在住外国人の方への調査研究を行っているチームがあります。この度、当チームでは20代~50代の在住台湾人157名を対象に、来日後の日本人との付き合いについて調査を行いました。

出入国在留管理庁によると、日本では2013年以降から新型コロナの影響を受けた2020年までの間、在住外国人の数が年々増加しています。現在では282万人超えとなっており、学校や職場、地域社会で外国人と接する機会が増えてきています。政府でもこうした潮流に対応すべく、「多文化共生」と掲げて文化や慣習の違う人達と仲良く暮らしていく環境作りに力を入れています。一方で、そうした中でも実態の把握や情報の伝達などにおいて課題が残されており、特にコロナ禍という社会情勢の変化を受け、お互いの関係性の在り方も揺らいでいます。

当チームではこうした背景の下、在住外国人の暮らしにおける悩み事と、その改善や軽減に向けて取り組めることのヒントを得るために今回の調査を行いました。そしてインサイトを洞察するために、調査では定性→定量→定性という「サンドイッチ型」設計としました。まず事前ヒアリングを通して課題の仮説を立て、その結果をアンケートで検証しながら、事後インタビューでその改善策となるヒントを探りました。調査結果をもって日本社会が在住外国人と接する際にお互いの関係促進又は改善、そして今後来日される外国人が日本での暮らしに慣れていくための参考にできればと考えています。

今回は前編として『日本社会が在住外国人と接する際の関係促進あるいは改善のためにできること』について考察してお伝えしていきます。後編についてはこちらよりご参照ください。

【調査結果の概要】

  • 在住台湾人の多くは、日本人との付き合いにおいて実は心理的距離を感じることがある。
  • その背景には人と人との距離が近い台湾流コミュニケーションと、日本流とのギャップが影響している。
  • 日本人の礼儀正しさと敬語・丁寧語などの振る舞いが、距離を感じさせる要因の一部となっている。
  • 在住台湾人と接する際に、心理的距離感を少し緩めることがスムーズに付き合っていくポイント。
  • 一方、新たに台湾から来日を計画されている方の場合、台湾流コミュニケーションとのギャップを念頭に、積極的に交流を重ねていくことが慣れていくポイントとなる。

【調査結果と考察】

本レポートは、事前ヒアリングを経てアンケート調査を実施し、更にアンケート回答者の中から数名に対して事後ヒアリングを行い、その結果を取りまとめたものとなります。調査の結果、在住台湾人の多くは、日本人との付き合いにおいて心理的距離を感じていることが分かりました。

◆旅行時とは違う!?暮らすことで見えてくる「日本と台湾の付き合い方ギャップ」

事前ヒアリングでは、来日された後に文化や習慣、礼儀作法などの違いで戸惑いを感じたことはないかを中心に伺ったところ、礼儀正しさから感じる距離感や本音と建前のわきまえ方、空気を読むことへの慣れなど、対人コミュニケーションに関する課題が共通して挙げられました。

アンケート調査ではこうした傾向を検証しつつ、それが人との付き合いにどう影響するか、具体的な体験談、どのように捉え又は対処しているのかなどについて伺いました。すると、88.2%の方が日本人との付き合いにおいて戸惑い(図1参照)を、80.3%の方が丁寧・礼儀正しさで距離(図2参照)を感じることがあると回答されました。

具体的にどのようなシーンで距離を感じたかという設問に対し、「職場でのコミュニケーション」と「友人とのコミュニケーション」との回答が多く、日頃接する頻度が高い環境から距離を感じることが多い結果(図3参照)となりました。これは、「日常でお買い物する時」や「旅先」においては客なので、礼儀正しく接されても違和感なく、距離も感じませんが、職場や友人付き合いにおいては関係値があることで、より近しく付き合えると認識しているから、距離を感じていると言えるでしょう。更に、その距離感が人との付き合いにどう影響するかについて、「逆に不必要な付き合いは避けることができるので、お互い干渉しすぎず、居心地が良い」と良い影響を挙げられた方がいる一方、「仲良くなりたくても距離を感じてしまうので、表面上の付き合いで友達になりにくい」と悪い影響の方が上回る(図4参照)結果となりました。礼儀正しく接してプライベートに深入りしない付き合い方が、知らずに距離を縮めにくい印象を与えていると思われます。

◆礼儀正しさが裏目に?台湾流とのギャップで生んだ「距離感」

なぜ礼儀正しさから距離感が生まれたのか、その理由は台湾流コミュニケーションとのギャップにあると考えられます。台湾流コミュニケーションにはどんな特徴があるのでしょうか?以下ではアンケートやインタビューに寄せられた一部コメントを代表例として記しながら、その特徴をご紹介します。

  • 初対面から友達感覚、誰にでも親切
  • 台湾流の人との付き合い方は、初対面でもすぐ打ち解けられ、友達の友達でもあっという間に友達になれるが、しばらく会っていないと疎遠になってしまうという熱しやすく冷めやすい面がある。また、友達同士の連絡頻度にも差があるので、初めから熱心に接すると日本人には引かれてしまうことがあるので要注意。
  • 日本に来る前に台湾の職場でも働いたことがあるが、部署が違っても社内交流やイベントで知り合い、和気あいあいとできたが、日本に来た時も同様に同僚に声をかけようとしたら「巧妙に」軽く交わされたり断られたりするので、最初はかなり傷ついた。しばらくしてみんなが台湾人の習性が分かってきてから少しずつ相手にしてくれた。
  • 厳密な敬語・丁寧語がなく、基本的にフランク
  • 日本人との会話で少なからず敬語が混ざっているので、いくら仲良くても見えない壁を感じてしまう。
  • 何回も会って自分として友達と言えるぐらいになったが、敬語からなかなかタメ口に切り替えられない。今でも切り替えのタイミングに困っている。
  • お互い様は長い目で、接し方がおおらか
  • 海外旅行に行くついでに欲しいものを代わりに買ってあげることは台湾人にとって大したことではないが、百貨店のお菓子などをお礼としてくれるので、時々大げさに感じるが、お礼の気持ちなので受け取ることに。
  • 行動も発言も礼儀正しいが、友達になろうと心を開いてくれるとは感じないので、交流を深めたい時は乗り越えられない壁を感じてしまう。

◆日本と台湾では「人との距離感」にギャップ!距離を縮めるためには?

上記コメントからも分かるように、職場でも友人関係においてもフランクに接し、初対面から仲良くなろうと熱心にアプローチするなど、人と人との距離が近いのが、台湾流コミュニケーションの特徴となります。そのため、母国語にない敬語や丁寧語から友達口調に切り替えるタイミングや使い分けに困惑してしまうことや、緩い付き合い方と違う礼儀正しさから距離や壁を感じやすい面があります。また、それによってプライベートに踏み込みすぎると捉えられてしまうこともありますが、生まれ育った環境での人との距離感を理解しておくと、悪気がなくむしろ好意の表しであることが分かり、コミュニケーションもよりスムーズに取れるでしょう。

「郷に入っては郷に従え」ということわざにあるように、日本に来たのであれば日本のやり方に慣れるのが筋だという意見もありますが、一方的に慣れてもらうより、受け入れ側も歩み寄って手助けした方がよりすんなりと溶け込んでもらうことができ、その過程でお互いへの理解や好感度をより高めることもできるでしょう。

具体的に例を挙げると、例えば職場のコミュニケーションにおいてフランクな雰囲気を作るためにチーム内で英語ネームやニックネームで呼び合うことや、社内交流等の雑談時に失礼のない程度で敬語を丁寧語に言い換えることなど、少し意識して変えるだけでより馴染みやすい環境にできるでしょう。また、友人付き合いにおいても、関係を深めていきたい方に対しては、身を構えずに相手が話してくれた内容に合わせて適度に自己開示することや、好意でやってくれたことに対してすぐさま何かで返すのではなく、一旦受け止めて次に何かしてあげることがある時に行動で示すことができると、より距離を縮められるでしょう。

※続きは後編をご参照ください。

【調査方法】

■調査目的:
 多文化共生の推進に寄与できるヒントを探り、日本社会が在住外国人と接する時、又は今後来日される外国人が日本での暮らしに慣れていくための参考とすること
■調査対象:
 20代~50代の在住台湾人 合計157人 ※事前ヒアリング調査の5人を含む
 男性35人 (20-29歳10人/30-39歳17人/40-49歳7人/50-59歳1人)
 女性122人 (20-29歳34人/30-39歳73人/40-49歳12人/50-59歳3人)
■調査エリア:全国
■調査方法:事前ヒアリング調査、アンケート調査、事後インタビュー調査
■調査期間:2021年3月~2021年10月

【調査研究員】

馮 惠芸(ヒョウ ケイウン)
台湾台北出身。北海道の観光系大学院の修了後、訪日プロモーションに特化した広告会社にて官公庁向け提案業務に従事。台湾をはじめ、香港やタイなど、地方自治体の東・東南アジア諸国向けプロモーションを多数手掛ける。オズマピーアール入社後は、日本政府観光局などの訪日プロモーション事業以外に、日本向け訪台プロモーションや食材輸出促進業務にも携わり、海外との双方向コミュニケーション業務に従事。インバウンド実務主任者資格。

三澤 茂毅
訪日外国人旅行専門ベンチャー企業に入社後、アジア10ヶ国以上の市場への営業マネージャーから、地方自治体向けインバウンド促進支援事業を立ち上げ、関連会社の役員として新たな空路開拓に尽力するなど、新規事業と組み合わせた誘致プロモーションを手掛ける。オズマピーアール入社後は、新規事業開発を担当しながら、日本貿易振興機構の日本食産品の海外統合MCプロモーションに従事。総合旅行業務取扱管理者。

谷澤 和哉
2006年オズマピーアール入社。戦略PR・マーケティングブティック会社への提携出向等を経て、2012年より博報堂PR戦略局に出向。様々な統合コミュニケーション業務に従事した後、2014年から2年間北京に駐在。日系企業のグローバルブランド展開の業務に従事。2016年に帰国後、訪日インバウンド専門ベンチャーの立ち上げに参画。2018年より現職。海外向け日本産品の統合型マーケティングコミュニケーションの全体戦略プロデューサーを務める他、日本政府観光局や環境省、地方自治体、エアライン、鉄道会社等、多数のグローバル業務において、戦略コンサルティング、プロデューサー、クリエイティブディレクターとして関わる。インバウンド実務主任者資格。2020年より早稲田大学招聘講師を務める。

【問い合わせ先】
株式会社オズマピーアール 広報室
Eメール:kouhou@ozma.co.jp TEL03-4531-0201

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