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パブリック・リレーションズの専門家によるブランドデザインとは?

私たちの提供価値は「社会潮流発想力とステークホルダーとの調和力で、企業/団体における社会的価値と、経済的価値を創出していく」こと。

これに立脚して、企業そのもの、そして事業や商品をすべて「ブランド」と捉えたとき、社会に対してブランドをデザインすることも私たちのミッションであると考えています。
クライアントの課題に向き合い、コミュニケーションの力で突破していくために必要なスキルを集結して効果を最大化していくのが、オズマピーアールのブランドデザイン部。このコラムではそれぞれ特徴的なキャリアをもつメンバー3名が、オズマの「ブランドデザイン」についてひもといていきます。

【スタッフプロフィール】

コーポレートコミュニケーション本部
ブランドデザイン部 部長 谷澤 和哉

2006年、オズマピーアール入社。統合マーケティングPR会社、グループ広告会社への出向を経て、2014年から中国・北京に赴任。高級車のブランディング・コミュニケーションをはじめ、海外現地での統合コミュニケーションに携わる。2016年に帰国したのち、訪日観光インバウンド専門のベンチャー会社の立ち上げに参画。JNTO、環境省、地方自治体、エアライン、鉄道会社等、多数の観光業務のプロデューサーを務める。2018年4月より帰任して現職。早稲田大学招聘講師(Global PR論)/ PRSJ認定PRプランナー / インバウンド実務主任者


コーポレートコミュニケーション本部
ブランドデザイン部 エキスパート 一ノ瀬 寿人

危機管理コンサルティング会社で、有事の対策本部運営、コンサルティング、リカバリーコミュニケーションに従事した後、2005年にオズマピーアール入社。以来、IT・デジタル業界の広報に従事しながら、様々な業界の広報部門の立上げ・運用、デジタル化を支援。「マンガでわかる!マッキンゼー式ロジカルシンキング(宝島社)」、「マンガでわかる!孫正義式 超高速PDCA(宝島社)」など書籍のシナリオ企画から、アップサイクルブランド「瀬戸内造船家具」のプロデューサーも務める。


コーポレートコミュニケーション本部
ブランドデザイン部 コミュニケーションプロデューサー 伊郷 美貴

大学院でジャーナリズムを専攻した後、2012年にオズマピーアール入社。国内外問わず、​マーケティングコミュニケーションから、企業・団体のレピュテーション向上に寄与するコーポレートブランディングまで従事。国内外大手SNSやアプリ、大手HRテック、大手インフラ会社などBtoCからBtoB企業まで幅広く担当。

パブリック・リレーションズを礎にして、企業やサービスのブランドをデザインしていく取り組み

谷澤 和哉(以下、谷澤):オズマピーアール(以下、オズマ)では2022年に「ブランドデザイン部」を立ち上げました。PRというと一般には広報セクションとしてのメディア対応やプロモーションなどが想起されることが多いと思います。しかしクライアントの課題にきちんと向き合い、コミュニケーションの領域で解決するためには何が必要なのかを考え抜いた結果、メディアリレーションに加えて、異なる領域の手法を掛け合わせた施策を提案、実行するケースも多々あります。

オズマには広報・PRのプロフェッショナルスキルを持ち合わせることをベースに、調査を得意とする者、コーポレートコミュニケーションを専門にキャリアを積んできた者、デジタルコミュニケーション施策に精通する者、広告や番組制作のプロと協働でコンテンツを制作する者……など、それぞれ特色あるスキルを持ったメンバーが豊富にいます。山に登るにも頂上までにはいろいろな入口、ルートがあるように、同じ目標を達成するにも、さまざまな手法が考えられるわけです。

一ノ瀬 寿人(以下、一ノ瀬):クライアントの課題解決を最優先に考え、生み出される成果・効果が最高点に達することを目指してプロデュースしていく。この機能を明確に立ててパフォーマンスを高めるために、さまざまなスキルを持ったメンバーを社内から集結させたのが、ブランドデザイン部です。

実は私、ブランドデザインの実践をしたいという意図もあって、愛媛県の企業と共同で瀬戸内造船家具というアップサイクルブランドを立ち上げ、運営しています。
サステナブルな取り組みを通じて地場産業を盛り上げていく——こういった事業に社として取り組んでいる事実は、オズマのレピュテーション向上にもつながります。さらにいえば、プロジェクトそのものがオズマのブランドデザインを体現しているものであり、私たちが目指していることをご理解いただくための実例としても機能しています。

クライアントを誰よりも熟知するプロデューサーを「ベース」に、「シンボリック」なスキルを持つメンバーが可能性を広げていく

谷澤:ブランドデザイン部は今、総勢13名のメンバーが集まっています。もともとオズマや他社でパブリック・リレーションズに従事していて、切り口や手法の拡大に取り組んできたメンバーもいれば、異分野でキャリアを積んできてその経験をPRの領域で活かそうとジョインしてきたメンバーもいて。多様な個性を持った人間がそれぞれの武器をもってパブリック・リレーションズという旗の下に集まってきた、いわば梁山泊のような部署です。

伊郷 美貴(以下、伊郷):私はオズマには2012年に入社しました。2016年頃からコーポレートコミュニケーションの仕事に従事しており、現在の部署でも“コーポレートブランディング”においてその経験を活かしています。企業や事業の理念やありかたを起点としたコミュニケーションデザインを得意としており、企業のパーパスづくりやその情報戦略・発信についてのお手伝いなどもしています。

谷澤:私は2006年に新卒でオズマに入社しまして、グループ会社への出向や中国赴任など、会社の外に出て多様な戦略や手法を学ぶ機会に多く恵まれてきました。今は主にグローバル領域でインバウンド、アウトバウンド双方の戦略を開発、実行しています。

一ノ瀬:私はパブリシティ活動や記者発表会などオーソドックスなPRの手法からさらに広げて、外部のコンテンツクリエイターと組んでいかにパブリック・リレーションズの効果を最大化するかという視点で、コミュニケーションデザインに取り組んできました。放送作家をブレーンに入れて番組企画や広報コンテンツをつくるなど、その経験を活かしてオウンドメディアのプロデュースなども手掛けています。

また、マンガやアニメのキャラクターとコラボレーションする枠組みをつくりタイアップなども実践してきました。といっても単にコンテンツの人気に乗じたプロモーションに終始するのではなく、「このコラボレーションで、双方の価値最大化や目的を達成しあえるか?」という視点を常に持ちながら、熱狂的なファンを有するコンテンツなどのIP(Intellectual Property)※1のチカラを活かして話題を創り・広げていく役割を果たしています。
※1 IPはIntellectual Propertyの略で、知的財産権が発生する著作物・コンテンツ等のことを指します。

伊郷:オズマの強みは、リテナー契約での活動や年間規模でのプロジェクトに携わることが多く、クライアント目線を持って併走できる人材が屋台骨となっているところにあります。クライアントや、競合を含めた業界について深い知識をもち、企業・事業の課題に対しては誰よりも知っている者がブランドデザインプロデューサーとして立ちます。この「ベース」がある上に、さらに戦略や施策に応じて最適なスキルをもつ「シンボリック」な人材を起用し、統合的にクライアントの課題に応えていきます。

一ノ瀬:オズマはもともと、リテナー業務でクライアントに併走するために、パブリック・リレーションズに関連する業務であればなんでも自分でこなせるゼネラリストが多いんです。一方で、クライアントの課題領域もコミュニケーションの手段も多様化する昨今、少数精鋭のゼネラリストだけではクライアントの課題に十分に対応できないジレンマも生じます。常にクライアントに向き合っているメンバーに加えて、社内外の専門家を起用した柔軟な体制でサービスを提供していくことが重要になっています。

“ソーシャルイシュー”を軸に置いてブランドデザインを描く

谷澤:ブランドデザイン部には多種多様なメンバーが顔を揃えています。クライアントの課題へのアプローチもさまざまではあるのですが、ひとつ合い言葉のようにしているのが“イシュー”を軸に考えていくということです。

伊郷:パブリック・リレーションズの本質である「クライアントと社会との良好な関係づくり」を目指すとき、クライアントニーズと社会を接合するのは“イシュー”なんですね。ソーシャルイシューをしっかり読み解いて、それに貢献する活動を行うことで、社会からの共感を得ることができ、企業の社会的、経済的価値を高めていくことができます。

私たちはコーポレートコミュニケーションを行っていく上でのコンセプトに「SOCIAL IN MESSAGE OUT」という言葉を掲げています。企業をブランディングしていくシーンでは、利益を出したい、利用者を増やしたいなどのマーケティングニーズを、企業目線でのニーズの起点としても、生活者への押しつけになってしまい受け入れてもらうことが難しい。その企業や事業・商品が社会の中でどんな存在意義を持つのか、どう人を幸せにしているのかを考えなくては、ブランドを高めていくことはできません。そういう意味を込めて「SOCIAL IN」という言葉を挙げています。

その上で、アウトプットとして打ち出していく施策やコミュニケーションには、企業活動を通してどんな価値を社会に示していくのかをきちんとメッセージとして乗せたものになるように、「MESSAGE OUT」の観点でプランニングしています。

谷澤:グローバル領域でもその文化圏における“イシュー”は大切にしています。当社では訪日インバウンド観光、最近ではアウトバウンドとして、酒や食材など産品輸出のコミュニケーションをお手伝いすることが増えてきています。その際もただ売るということではなく、現地での文化的解釈も妨げないように、現地のコンテンツに沿ったかたちで受け入れられる素地をつくっていくことが、一過性ではなく受け入れられるためには必要なことだと考えています。

伊郷:私たちは海外に支社は持っていないのですが、その代わり現地で協力をしてくれるパートナー会社やグループ会社のネットワークも活かしながら、現地のレストランや小売、ディストリビューターの方々と密接なリレーションを構築します。現地で受け入れられるための文化的な文脈を探るためでもありますし、相手方の国で自分たちのライフスタイルを豊かにしてくれるアイテムとして提供していくために協働して活動していくためでもあります。こうして海外でも、“イシュー”を軸にブランディングを推進するため、コミュニケーションのデザインをしていきます。

谷澤:ひとつ付け加えておきたいのは、“イシュー”の設定の際には、いかに等身大のイシューを設定できるかが成功の鍵を握るということです。社会課題を解決したいからと、壮大なテーマを掲げたとします。しかしそれが企業の活動の方向性や生み出す価値とズレがあると、企業の人格にブレがあるように感じられて違和感が生じる。ブランドデザインとしては成功したとはいえないんですね。

最近の事例で面白いなと思ったのは、大きな広告賞を受賞した、米国でのケチャップメーカーのPRです。米国では一般的に、ウインナーは10本入、バンズは8個入りで売られているそうで、ホットドッグをつくると常にウインナーが2本余ってしまう。これにもの申すというキャンペーンをしたんです。この反響がものすごくて、何万人もの署名が集まり、ウインナーとバンズのメーカーが対応を迫られる論争にまで発展したのだとか。生活者にとってとても身近な、ホットドッグという“イシュー”に対して気づきを提供したことで、何万人もの人を巻き込む大きな流れをつくりだしたわけです。しかもそれを起こしたのは、ホットドッグには欠かせないケチャップという製品のトップメーカーだった。等身大のイシュー設定のすぐれた事例だと思いました。

あらゆるレイヤー・領域でのブランドのコミュニケーションをデザイン ブランドデザイン部のクライアント支援

谷澤:パブリック・リレーションズといってもその領域や活動は多岐にわたります。例えばテレビプロモーション、イベント、デジタルコミュニケーション、危機広報など“機能や手法”で分けることもできます。当社のウェブサイトを見ていただいても、さまざまな“機能”が入口として並んでいます。またヘルスケアなど“領域”軸でオズマの強みを提示することもできます。

ただ、個人的にはこういう機能や領域というのは、ともすれば私たちサービスの提供側が分類した“わかりやすいメニュー”でしかないのかもしれない、という気がしています。クライアントからしたら、自社の課題を自分たちでは見えないところまで洞察してくれて、専門性をもって突破する手助けをしてもらえればいいわけで。

伊郷:ですからブランドデザイン部としても、いろいろな武器をもった人材がいますよということはお伝えしながらも、先にできることをお伝えするというよりは、“イシュー”を真ん中において、どんな武器で闘っていくのかをデザインしていくのが正しい筋道だと考えています。

私たちはクライアントと併走している中で、クライアントの良いところも、どんな企業でありたいと考えているかも熟知しています。社会潮流を把握したうえでどんなイシューと接合していくのか、最適解を提案していくのが私たちの役割だと考えています。

一ノ瀬:企業・事業、そしてサービスやプロダクト、あらゆるレイヤーでブランドのコミュニケーションをデザインすることで、クライアント支援を実行するのがブランドデザイン部です。よりブランドを強く、また社会に広げていきたいというニーズのある企業の方に、コミュニケーション提案を行っていきますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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