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  • PRアワードグランプリ2016 シルバー受賞
  • 岐阜県関市

“円空の眠るまち”岐阜県関市の戦略PR事例

全国に話題が拡散! 地方自治体PRの仕掛けとは

地方創生の推進などを背景に、全国の地方自治体が広報活動に一段と注力するようになっています。オズマピーアールでは、ここ数年間で実に40以上の自治体PRをサポートしてきました。その内容は、観光・物産PRから統合的なプロモーション、シティプロモーションの戦略策定まで、課題や目的に応じてさまざまです。岐阜県関市のPR活動を例にご紹介します。

戦略

地方自治体PRに必要なのは①ストーリー ②共感 ③突破力

全国の地方自治体が、PR合戦を繰り広げています。しかし、自分たちが「売りたいもの」をそのまま情報発信しても、必ずしもそれが話題となるとは限りません。そこには、戦略的なコンテンツづくりと、情報流通経路の設計が必要です。そもそも歴史にあまり興味がない層に「円空仏」の魅力を発信しても、その情報は気づいてすらもらえません。そのエリアの持つストーリーをしっかり汲み取り、生活者のココロに共感を生む仕掛けを施し、意外性あるカタチ(具体的な施策)を作れるかが大切です。

自治体広報における話題化に必要な要素

  1. その地域ならではのストーリー性
  2. 生活者(受け手)の共感
  3. それをカタチにする突破力

PR施策 活動内容

「円空仏」をテーマにした、関市ならではの現代アート展を開催し話題化

人口約9万人の岐阜県関市。刃物の国内出荷額シェアにおいて、包丁で約5割、理髪用刃物で約8割を占めるなど、「日本一の刃物のまち」として有名です。刃物、関うな丼、小瀬鵜飼など、さまざまな地域資源があるなかで、今回テーマにしたのは江戸時代の遊行僧・円空上人が彫った「円空仏」。岐阜県で生まれた円空上人は、全国を行脚して厳しい修行をおさめ、人々の幸せを願って12万体もの木彫り仏像を彫りました。晩年は関市で過ごし、生涯を終えたことから、市内には約290体の円空仏や入定塚などが残されています。

そこで企画したのが、岐阜県生まれの現代美術作家・河地貢士さんとコラボレーションした、「うまい仏 ~円空が眠るまち・岐阜県関市 現代アート展~」です。「うまい仏」とは、スナック菓子に円空仏を彷彿とさせる仏を彫った作品。関市ならではの現代アート展として、名古屋駅直結の商業ビルで開催しました。

「うまい仏~円空が眠るまち・岐阜県関市 現代アート展」に展示された百七体旨仏像

ストーリーとビジュアル・インパクトを持つ「うまい仏」の話題が拡散

「円空のまち」関市ならではのストーリー性、誰もが一度は食べたことがあるなじみのあるスナック菓子を素材とした作品、そして、「うまい仏」のビジュアル・インパクト。開催発表と同時に、新聞社のネットニュースから火がつき、複数のポータルサイトに一気に拡散、ソーシャルメディアでも話題が拡散していきました。イベント初日のプレス内覧会には、ほとんどの地元テレビ局・新聞社などが取材に来てくれました。「うまい仏」という爆発力のあるアート作品を紹介するだけでなく、「なぜ関市が?」「それは円空のまちだから」というストーリーで報道されました。

誰もが一度は食べたことがあるスナック菓子に仏を彫ったアート作品

地元メディアから全国へ「ここだけ」の体験が拡散を加速

地方自治体の広報活動をサポートするなかで、自治体の方から「全国的な話題にしたいから、東京で施策を展開したい」という話をいただきます。しかし、自治体広報の成功には、必ずしも首都圏での実施が最適とは限りません。誰に伝えたいか、どのような情報流通経路を作るか、という設計が最も大切です。

 関市が目的とする観光客の増加を考えると、最も重要なのは、アクセスの良い、東海3県(愛知県・岐阜県・三重県)です。特に、人口集積し、基幹都市である名古屋エリアは、最も重視すべき地域です。さらに、テレビや新聞などのマスメディアの集積地でもあります。ローカルエリアできちんと報道されることが、足元商圏での認知獲得、来訪促進のきっかけとなります。さらに、地方を起点とした情報であってもネットで話題になることで、全国メディアにも拡散していきます。

また、会場では「うまい仏」を撮影OKとした結果、ほとんどの来場者が「東海エリア」初上陸となる作品を、スマートフォンなどのカメラで撮影していきました。さらに、来場者が参加できる「うまい仏」のワークショップを行い、河地さんからの直接指導を受けながら、まさに「ここだけ」の体験装置を作りました。イベントの進行と同時に、ソーシャルメディア上では、次々と新しい写真や、体験のコメントが重ねられていきました。

スマホで撮影し次々と拡散

河地貢士氏による「うまい仏」ワークショップ。男女問わず、大人から子どもまでが参加

成果

老若男女を問わず1万3,000人が来場。観光案内や市内へのアクセスを紹介したフライヤーも好評

3日間という短い会期にも関わらず、予想をはるかに上回る約1万3,000人が来場。なかには、神戸からわざわざ見学に来た若い女性もいるなど、老若男女を問わず幅広い層を集めることに成功しました。

くわえて、会場には、河地さんがデザインした「来場記念に思わず持って帰りたくなるような」フライヤーを準備。市内の「円空館」や「入定塚」などの観光案内や、市内へのアクセスを紹介したフライヤーは好評で、関うな丼や小瀬鵜飼などの観光パンフレットなども含め、用意した合計6,000部が3日間の会期中にすべてなくなりました。その結果、関市の「円空館」には「うまい仏」をきっかけに来場した人もいました。

円空が眠るまち・岐阜県関市 現代アート展のパンフレット

ターミナルの名古屋駅前の商業施設で開催したことで、乗り換え時間に立ち寄った方も

まとめ

重要なのは、発信する情報をどのように作り、仕掛けていくか

自治体の広報や観光、県産品などの担当者の方は、オズマピーアールに対して、メディアに強い総合PR会社としての情報発信力を期待されていると思います。ただ、発信する情報を、どのように作り、仕掛けていくかが重要です。全国の地方自治体PRの経験で培った知見を活かし、さまざまな課題や地域資源に対して多面的なアプローチを行うこと、そして自治体をサポートしていくことがオズマピーアールの強みです。

ご担当者様より

関市経済部観光交流課 三輪 博樹 様

初めて企画を見たときは斬新さに驚きましたが、「関市の魅力を知っていただくために何をしたらよいのか?」を考え抜いた末の提案でしたので、ちゅうちょせず実施を決断しました。結果として反響も大きく、多くの方に関市を知っていただくことができありがたいです。話題化に向けた、専門家ならではの戦略的な情報発信はさすがですね。これからも、関市に興味を持っていだけるよう、魅力的な情報を伝えていきたいです。

現代美術作家 河池 貢士 様

普段から作品を制作するうえで、その場所の特性を活かす「サイト・スペシフィック」という考え方を重要なソースとして用いています。「うまい仏」は今回の展示のために制作された作品ではありませんが、関市の歴史的な遺産である「円空仏」を作品に色濃く反映させていたことで、結果的に関市の魅力を伝える作品となりました。物事を新しい視点で見せるという点で、現代アート的なアプローチは“地方のPR”と非常に相性が良いといえます。今後ともこのような事例がありましたら積極的に関わっていければと思っております。

プロジェクトメンバー

高田 太郎

全国の自治体がPR合戦を繰り広げるなか、話題にするためには「突き抜ける」ことも時には必要です。「うまい仏 ~円空が眠るまち・岐阜県関市 現代アート展~」は、ある意味で自治体らしくないイベントでしたが、企画段階から話題になる自信がありましたので、「ぜひやりましょう!」と面白がって実施を決断いただいた関市の方に感謝しています。何より、多くの方に、関市に興味を持っていただき、関市の魅力に気付いていただけたことがうれしいです。

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