- ACC2021マーケティング・エフェクティブネス部門 ブロンズ受賞
- PRアワードグランプリ2021 ブロンズ受賞
- 2021シティプロモーションアワード 金賞受賞
- 尼崎市
尼崎市
まちへの愛でネガティブイメージを覆した市民共創型まちづくり戦略
市内外からネガティブなイメージを持たれていた尼崎市。
オズマピーアールが2019年から支援をしました共創型シティプロモーション戦略を紹介します。
課題と戦略
根深いネガティブイメージとあまらぶ大作戦。
尼崎市は、高度経済成長期に発生した深刻な公害やひったくり認知件数県内ワースト1など負のファクトに裏打ちされた「犯罪が多く、ガラが悪い」ネガティブなイメージを込めて、市内外から「あま」と呼ばれていました。
そんな「あま」を市民が誇れるまちに変えるため、市民の「あま」への「愛(らぶ)」を掘り起こし、ネガティブイメージの根源である課題を共に解決する「あまらぶ」大作戦を2013年に開始しました。
特徴は、シティプロモーション推進指針で掲げた「まんじゅう理論(※画像)」。皮(見た目)ではなく、まずは中の餡子作り(市の課題解決・魅力向上)を優先する方針を掲げました。
課題
- 高度経済成長期に発生した深刻な公害
- ひったくり認知件数県内ワースト1などの不名誉なファクトに裏打ちされた「犯罪が多く、ガラが悪い」イメージ
アプローチ戦略
- 「あまらぶ」大作戦により、ネガティブイメージの根源である治安の改善や、学力の向上などの課題を市民と共に解決
- 「あまらぶ」大作戦に取り組む中で育まれた「あまらしさ」を、多様な角度・テイスト・媒体で表現・発信
PR施策 活動内容
[アプローチ戦略1]
「あまらぶ」大作戦による市民共創型課題解決
尼崎市独自のまんじゅう理論、その重要な餡子作り(市の課題解決・魅力向上)を担ったのが「あまらぶ」大作戦です。
あまがさきが好きなひと(=「あまらぶ」な人)を増やし、共に課題を解決
「みんなが先生、みんなが生徒、どこでも教室」をコンセプトとした学びの場「みんなの尼崎大学」は2020年までに累計1700の講座を開催し、3万人以上の方々が参加し課題解決のベース基地となりました。
ひったくり認知件数県下ワーストワンなど、ガラの悪いイメージが持たれていた治安は、日常生活に防犯を取り入れた市民参加型防犯チーム「あなたを守り隊!」などの取り組みで大幅に改善、低いとされてきた子どもたちの学力は、小・中学校のOBOGらの協力によって行われる「放課後学習」などの取組みで全国平均近くまで向上、市役所職員と商店街が連携して行った行動経済学を用いた新型コロナ対策はWHOの公式サイトに取り上げられました。
[アプローチ戦略2]
「あまらしさ」を発信したブランドブックプロジェクト
尼崎市独自のまんじゅう理論、皮づくりでは、「あまらぶ」大作戦に取り組む中で育まれた「あまらしさ」を、多様な角度・テイスト・媒体で表現・発信することに挑戦しました。
一言で表せない「あまらしさ」を写真で表現
笑顔、話好き、おせっかい、包容力、多様性、やんちゃ、時代に流されない・・・一言で言い表すことのできない尼崎の人びとの魅力である尼崎らしさ=「あまらしさ」を写真で表現するブランドブックプロジェクトを2020年に立ち上げました。
フォトグラファーにファッション・ライブ・ポートレート撮影で活躍するベルギー出身の写真家/ロブ・ワルバース氏を起用、モデルの大半は尼崎市民、ロケーションは全て尼崎市内で構成、冊子だけではなくSNSや交通広告、写真展などで展開しました。
結果として、テレビや新聞、ネットニュースなど多数の露出を獲得、1万部印刷したブランドブックはほぼすべての配布が完了、読者からも多くのポジティブな反響・声をいただくことができました。2022年現在、第二弾まで発行されています。
成果
まちへのイメージが向上し、まちをおすすめしたい市民が増加
●市民の市へのイメージ向上
2013年=32%▶ 2020年=56.6%
●尼崎のことをおすすめしたい市民が増加
※地域推奨意欲(市民アンケート結果を数値化した独自指標)
2017年=24.5 ▶ 2020年=37.5
プロジェクトメンバー
関西支社 コミュニケーション・ディレクター
藤本 正太
大手印刷会社にてマーケティング業務に従事後、2013年よりオズマピーアールにて勤務。関西のテーマパークや部品製造業、鉄道会社等を担当、現在はコーポレートPR領域や自治体広報に強みを活かす。2021年より行動経済学「ナッジ」の専門チームでリーダーを務める。
シティプロモーションでは、イメージの要因となっているネガティブなファクト・地域課題を解決する内向きのアクションと、そのまち「らしさ」をクリエイティブにのせて情報発信を行う外向きのアクション、双方ともに重要となります。尼崎市様はこれをお饅頭のようにとらえ、餡子づくりとしての地域課題解決とともに、ブランドブックプロジェクトをつつみこむ皮として捉え、広報活動を展開されています。その結果、歴史的背景から来るネガティブイメージが徐々に変わりつつあると実感しています。