
- 合同会社キャプションホテルマネジメント
日本初進出のライフスタイルホテルブランド『キャプション by Hyatt なんば 大阪』開業 PR 活動
ブランドが目指す姿を“大阪・なんばのカルチャーをアップデートさせるホテル”ととらえ、地元とのリレーション構築・アクションづくりに貢献。
大阪のエネルギーがぎゅっと濃密に詰まったミナミの「裏なんば」と呼ばれるディープなエリアに、2024年6月12日『キャプション by Hyatt なんば 大阪』がグランドオープンしました。
ハイアット ホテルズ コーポレーションが 2019 年に発表したブランド「キャプション by Hyatt」は、2022年6月にアメリカのメンフィスでデビュー。2024年4月にオープンした上海に続き、『キャプション by Hyatt なんば 大阪』は世界で3店舗目、日本初進出のホテルです。
「キャプション by Hyatt」最大の特徴
地元とゲストがつながりあえるコミュニティスペース「トークショップ」
「キャプション by Hyatt」は、地元の人びとと旅人が真のコミュニティを創りあげるようにデザインされています。ホテルの中心である1Fにはロビーが無く、「トークショップ」というスペースがあることが最大の特徴で、あらゆる人が一日を通して飲食を楽しんだり、仕事をしたり、友だちと遊んだり、くつろいだりできる場になっています。
オズマピーアールは、合同会社キャプションホテルマネジメントからの委託で2024年1 月から同6月の開業まで、本ホテルの Public Relations 活動に携わりました。ご担当者様と共に取り組んだ PR 活動を中心に、このプロジェクトを紹介させていただきます。
(文:オズマピーアール 久保田 敦/川端 里歩)
国内外から注目をあつめている大阪の象徴的エリア「なんば」。この地に「キャプション by Hyatt」ブランドが誕生することの意義をどのように定義し、伝えるか?
大阪屈指の繁華街「なんば」は、さまざまな店舗が自らの個性をアピールし、日夜多くの観光客、地元生活者でにぎわっています。また、大阪ではなんばを含む都心部を中心に、大阪・関西万博を前に国内外のホテルブランドの開業ラッシュが続いています。
このような社会環境のなかで「キャプション by Hyatt」ブランドが日本初進出の場としてこの場所に誕生することの存在意義を、どのように定義づけて、いかに伝えていくかという視点が重要になってくるととらえていました。
地元に寄り添うだけでなく大阪・なんばのカルチャーをアップデートするホテルに
地域密着をうたう他のライフスタイルホテルブランドがすでに多数大阪エリアに存在するなか、「キャプション by Hyatt」ブランドが大切にする価値を伝えるためには、単に地元とコラボレーションをするのではなく、ホテルの開業がきっかけとなって、地元やコミュニティがどのように変化していくのか、変化をもたらしたいのかを言語化すること、そして具体的なアクションに移していくことが大切になると考えました。
そこで、「大阪・なんばのカルチャーを引っ張り、ともに発展(アップデート)させることこそがブランドの本質的な価値・めざす方向である」ととらえ、地元とのリレーションづくり・アクションづくりに取り組みました。
「裏なんば」という立地特性をふまえ、「裏」という視点をもって地元とのリレーションを構築、トークショップを活かしたアクションづくりを実施
『キャプション by Hyatt なんば 大阪』は、道頓堀やなんばグランド花月など、多くの生活者がなんばと聞いて思い浮かべる代表的な観光スポットのほか、「黒門市場」「国立文楽劇場」「道具屋筋」などの歴史・文化ある名所に徒歩でアクセスが可能な「裏なんば」というエリアに位置します。これらのスポット以外にも、さまざまなディープなエリア、個性あるお店が存在する、歩けば歩くほどに発見のあるエリアです。
「キャプション by Hyatt」ブランドが大切にしているトークショップの場を活かしたコミュニティづくりを開業前の段階から推進していくにあたって、この「裏なんば」の立地特性をふまえ、「裏側」という視点(=大阪・なんばの魅力を通常の旅行体験とは異なった視点で発見できるという視点)を大切にしながら、以下のブランドとのリレーション構築および開業後のアクションづくりに取り組んでいきました。
<共創アクション紹介 1>老舗たこ焼き店「たこ焼道楽 わなか」の職人が伝授。家庭用たこ焼き器で本格たこ焼きづくりを体験「キャプションタコパ」
なんばの街を歩くと、たくさんのたこ焼き店に出会うことができます。お店で作ってもらったたこ焼きを買って食べるのももちろん楽しい体験ですが、この大阪が象徴するたこ焼きというソウルフードの裏側(=たこ焼きができるまでの過程、アットホームな雰囲気でみんなでたこ焼きをつくって、いっしょの空間で食べるのも楽しい!)という体験も、ホテルを訪れるゲストに提供したいと考えました。
このアイデア・想いに共感をいただき、ミシュランガイドにも掲載された地元の老舗たこ焼き店「わなか」様とのコラボレーションが実現。プロの職人との会話を通じてたこ焼きの魅力や家庭用調理器を使ったつくり方のポイントを学びながら、アツアツのたこ焼きが食べられるアットホームなイベント「キャプションタコパ」の企画を実現しました。
<共創アクション紹介 2>大阪の人気書店「スタンダードブックストア」の店主がセレクトした本がトークショップに登場。本を読みながら、おもいおもいの時間をすごせる場所に
「本屋ですが、ベストセラーはおいてません。」をキャッチコピーに掲げ、一般的な売れ筋にはこだわらない独自の選書や、作家などを招いたイベントなどを積極的に展開し、訪れる人びとに本を通じたさまざまな出会いを創出してきた大阪名物の書店「スタンダードブックストア」。2006 年のオープン以来、多くの人びとから愛されてきた本屋さんですが、2023 年に惜しまれながらも直営の店舗が閉店しました。
「なんば」で本屋業をはじめて以来、本を通じて“ひとの居場所をつくる”ことを長年大切にしてきたスタンダードブックストア店主の中川和彦さんの思いと、『キャプション by Hyatt なんば 大阪』のトークショップがめざす姿が重なったことから、コラボレーションが実現。トークショップを訪れたゲストが自由に読める本をセレクトいただきました。
(画像提供:キャプション by Hyatt なんば 大阪)
<共創アクション紹介 3>味園ビル内で4店舗のバーを展開し、なんばを愛する B・カシワギさんがアテンドディープななんばを味わうバーホッピング
1950年代から続く大阪・千日前のランドマーク「味園(みその)ビル」。ビル内には、昭和が香るディープな飲み屋街が立ち並び、常連客や噂を聞きつけ訪れた新しいお客さんで連日賑いをみせています。しかし、ビルの老朽化などの問題により、2024年末で全テナントが閉店を余儀なくされました。
「裏なんば」の歴史を築いてきた「味園ビル」。お客さんはもちろんのこと、テナントを去る店主の方々の寂しさや悲しみは計り知れません。そこで、ホテルとして何か貢献できることはないかと考え、味園ビル内でバーを4店舗展開するB・カシワギさんのもとへ訪問。
誰よりもなんばと味園ビルを愛するB・カシワギさんの熱い思いに触れたことから、“残された時間の中、ひとりでも多くの方に「味園ビル」を体験してもらい、これからも味園ビルを語り継いでほしい”という共通の目標が生まれ、コラボレーションを行うことになりました。現在、トークショップを出発点として、B・カシワギさんアテンドによる味園ビル内のバーホッピングの実施に向け準備を進めています。
これらの地元とのコラボレーションをベースに開業前から巻きこみの輪がひろがり、開業後の基盤となるコミュニティの構築に取り組みました。
ホテルの特徴を「泊まらなくても楽しい、地域とつながったホテル」と言語化し、関西圏のメディアを通じて地元の生活者に発信。女性誌・WEBメディア・ホテルライターによる試泊記事も実現
開業時のメディアリレーションズ活動は「在阪メディアを主なターゲットに、開業前日に開催したプレス内覧会によるメディア露出の獲得」と、「女性誌・WEB メディア・ホテルライターによる試泊記事」の両輪で、関西圏・首都圏のメディアを対象に推進しました。
関西圏の生活者に情報を届ける在阪メディアからみると、一般的に、ホテルという施設は、地元生活者にとって身近な商業施設に比べ取材対象になりにくいという印象をもたれやすい面があります。
そこで、メディア向けの内覧会への参加を促す取材案内状において、『キャプション by Hyatt なんば大阪』の特徴を「泊まらなくても楽しい、地域とつながったホテル」と言語化し、ホテルのデザイン・設備、フード&ビバレッジの紹介はもちろんのこと、トークショップで実施予定の地域とのコラボレーション・アクションについても合わせて伝えていきました。結果、多くのメディアが当日来場し、パブリシティを通じて関西圏の生活者にホテルブランドの価値を伝える情報発信を実現しました。
また、合わせて、これまでオズマピーアールとして培ってきたホテル・旅行関連メディアとのリレーションを活かした試泊取材も多数実現。実際に泊まった体験をもとにした臨場感のある記事が掲載されました。
2024年8月下旬、平日の午前中にホテルを訪れましたが、トークショップは国内・国外多くのゲストでにぎわいを見せていました。最近も、裏なんばの老舗味噌店の味噌をかくし味に使用した「裏なんバーガー」を2024年10月1日~11 月24日の期間限定で提供するなど、地元とのつながりを活かした新しいチャレンジを推進されており、訪れるたびに新しい発見があります。
大阪なんばにお越しの際は、ぜひ『キャプション by Hyatt なんば 大阪』を通じて地元のいろいろな“オモロイ”を発見し、ご自身がアップデートされる感覚を楽しんでいただければと思います。
【キャプション by Hyatt なんば 大阪公式サイト】
https://www.hyatt.com/caption-by-hyatt/ja-JP/osacp-caption-by-hyatt-namba-osaka
プロジェクト担当者より
オズマピーアール リレーションズデザイン本部 川端 里歩
一般的に、PRエージェンシーが携わるホテル開業のコミュニケーション活動は、ホテル開業構想発表時の記者会見や、ホテル開業前・開業時の「メディアリレーションズ活動」が中心です。このプロジェクトはそこから一歩踏み込んで、新しいホテルブランドの特徴や価値をいかに日本の生活者に伝えていくか、地元とのリレーションづくりやアクションにつなげることにチャレンジしました。印象的だったことは、上記で挙げた共創パートナーのわなかさんや中川さん、B・カシワギさんたちが、「なんばの◯◯◯ともコラボしてもおもしろいんちゃう?」「◯◯◯やったら僕知り合いやから紹介するで!」など、自分たちでは思いつきもしなかったアクションのアイデア出しや繋がりをご紹介いただいたことです。
そこに、なんばという地元ならではの人の温かさ、これからもコミュニティが広がる兆しを感じました。
ホテルの一方的なアクションではいつか限界がきます。コミュニティは人が欠かせません。これからもトークショップが交わりの舞台として、地元の人をはじめ、人と人とが繋がり続けることでコミュニティが広がること、新たな可能性が生まれことを願っています。
プロジェクトメンバー
久保田 敦、川端 里歩、粉川 早予子、伊田 雄紀