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「いきものモグモグカレンダー」プロジェクト

「食べる」大切さはいきもの共通。 動物たちの食べる姿&意外なコラボで実現した誤嚥性肺炎予防、嚥下力向上啓発

年齢とともに、飲み込む力(嚥下力:えんげりょく)が弱くなることで起こる誤嚥性肺炎。高齢化社会に伴い、毎年4万人以上もの人がこの誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)により亡くなっています。

誤嚥性肺炎予防のみならず、「飲み込む力(嚥下力)」を保つことは、生涯にわたり食事を美味しく味わうことにつながり、健康で長生きするため、人生を楽しむためにも必要なこと。
生涯を通じて美味しく食べるため、喉や舌の筋力を鍛えられる嚥下力トレーニングボトル「タン練くん®」を開発・製造・販売しているのが、和歌山県のベンチャー企業「リハートテック」です。

嚥下力向上の大切さをより広く啓発していきたい、そして嚥下力向上の有力な手段として「タン練くん®」を知ってもらいたいと、タン練くんのプロダクトデザインを担当した和歌山を本拠にするデザイン会社&A様と共に、オズマピーアールが嚥下力向上啓発、タン練くんの認知拡大のためのプロジェクトに取り組んだ事例をご紹介します。

広報活動にあたっての課題の突破口は「食べるチカラ」の再発見

長年、和歌山県の高齢者施設で口腔ケアに携わってきた歯科医師が「誤嚥性肺炎で亡くなる方を少しでも減らし、人生の最後まで食べる楽しみを味わってもらいたい」という強い想いから開発したのが「タン練くん®」です。

嚥下力トレーニング用ボトル「タン練くん®」

嚥下力は何もしないと30~40代から次第に衰えていくことがわかっていますが、飲み込むという当たり前の動作ゆえにその力が低下していることに気づきにくく、はっきりと飲み込みづらさを自覚したときには、かなり進行していることも少なくありません。そのため、嚥下力向上のための取り組みを早くから意識して行うことが大切です。タン練くんを開発・発売するリハートテックでは、既に啓発活動を進めていた中で、高齢者も若い世代も自分ごと化して考えてもらう必要があるのに、なかなか関心を持ってもらえない、といった課題がありました。

さらに今回は「タン練くん®」発売から数年が経過し、誤嚥性肺炎の話題はすでにニュースになっているため、単純に疾患啓発や商品PRを行っても話題にはならないという広報上の課題もありました。

そこで、私たちは今回の戦略立案にあたり、まず「タン練くん®」の開発者で歯科医師でもある、リハートテックの笠原先生から「タン練くん®」開発の背景や想いを改めてヒアリングさせていただきました。

  • 食べるという行為は、単に歯で噛むことだけでなく、実は、口や喉の約15もの筋肉の動きが連動して成り立っている複雑で緻密なからだの仕組みであること
  • 中でも「飲み込む」ことは無意識に行っているが、舌や頬、喉の筋肉が弱くなると緻密な仕組みが当たり前にはできなくなってしまうため、歩く力を維持するために足腰を鍛えるように、食べるための筋トレが必要なこと
  • 多くの人が口から食べられなくなって一気に活力を失っていく様子を見てきたことから、「おいしく自分の口で食べる」というのは、単なる栄養摂取に留まらず、人に生きる喜びや活力をもたらすことである

・・・こうしたことを前述の先生から熱心に教えていただく中で、私たちは、
【普段あたりまえすぎて意識されていないけれど、食べるためには実は「チカラ」がいること。】
【「食べるチカラ」を維持することが健康で長生きするために必要なことであり、「生きるチカラ」そのものでもある。】
ということを再発見しました。

そこで、私たちは、この普段意識されないこの「食べるチカラ」に注目し、「いつまでも美味しいものを美味しく食べたい」という、年齢にかかわらず感じている共通の想いを軸に、まずは、飲み込む力を中心に「食べるチカラ」について身近に知ってもらい、考えたり、会話を促す機会を作りだすことを戦略の軸にすえ、そのためのコンテンツ開発を行いました。

コラボレーションで実現した、いきもののリアルな食べる姿・食事事情を通じた「食べるチカラ」啓発コンテンツ

普段意識しない「食べるチカラ」に幅広い層から関心を持ってもらうべく考えたのは、「動物たちがモグモグと食べている姿」から興味を持ってもらえないかということです。「食べるチカラ」は人だけではなく、いきもの共通にとって大切なこと。「人の健康課題」という枠組みを超えて、動物の食べる姿から、人間の身体の不思議や嚥下力の大切さにも触れてもらうことで、自分ごととして考えるきっかけになるコンテンツを考えました。
また、日常の中でそうした情報に触れたり、考えたりする機会になるよう、日々目にするカレンダー形式で啓発コンテンツを検討していきました。動物&カレンダーというコンテンツ・形式をとることで、年齢に関係なく、「食べるチカラ」「嚥下力の大切さ」をより身近に感じてもらうという試みです。

また、1社だけでおこなう啓発プロジェクトでは情報の広がりも限定的になります。そのため、巻き込みの視点から私たちはリハートテックと同じ和歌山県内にあるテーマパーク「アドベンチャーワールド」とのコラボレーションを打診しました。
アドベンチャーワールドには、様々な生き物が暮らしており、これまで、子どもホスピスや老人福祉施設への動物たちのふれあい機会としての訪問など社会貢献の取り組みを積極的にされています。今回、「動物たちの生き生きとした食べる姿を通じて啓発することで、動物たちの力を借りて、飲み込む力や食べるチカラの大切さへの理解を広げることにつなげたい」というプロジェクトの趣旨に賛同いただき、カレンダー制作にご協力いただけることになりました。動物たちの食べる姿の撮影・画像提供のご協力、飼育スタッフの方の動物コラムへのご監修等、幅広くご協力をいただくことで、よりいきもののリアルな食事事情や食べる姿をコンテンツに反映させることができました。

「いきものモグモグカレンダー」の完成と公開

「いきものモグモグカレンダー」は、月替わりで12種の様々な動物の「食べる」にフォーカスした写真を中心に、その動物たちの食事やお口事情の豆知識も得られる、アドベンチャーワールド飼育スタッフ監修の動物コラムと前述の歯科医師の監修した食べる力の低下を予防するためのお役立ちコラムで構成しました。

例えば、5月のアフリカゾウの動物コラムでは、ゾウは一生のうちで6回歯が生え変わり、最後の歯が抜けると生えてこないこと、そしてアドベンチャーワールドにいるゾウは高齢で最後の歯となっているため、食べ物の柔らかさなどに気を使ったり口の筋力を落とさないように「食べるチカラ」を維持するために工夫していることを紹介します。そして、「人間はどうだろう?」と今度は人間に置き換えて、年を重ねると衰えやすい飲み込む力(嚥下力)を維持するためのポイントを解説していきます。それぞれのいきものの特徴的な食べ方や体の仕組みに着目してもらったうえで、人間の場合は?と続けて展開することで、「食べるチカラ」により興味を持ってもらう仕掛けです。

こうして、いきものの「食べるチカラ」の秘密を知ったあとに「私たち人間はどうだろう?」と、普段は意識しにくい私たち人間の「食べるチカラ」についてもひもとき、毎日、目にするカレンダーで食べるための嚥下力の大切さを日々の中で伝えていくコンテンツに仕上がりました。

制作したカレンダーは、高齢者による餅の窒息事故が多く発生し、誤嚥性肺炎の死亡者が増加する年末年始を前にオンライン上で無料公開され、同時にプロジェクトに関するプレスリリースを配信しました。

また、誤嚥性肺炎予防として、「飲み込む力(嚥下力)」を保つために喉や舌の筋力を鍛えることの重要性に関する医学論文の情報も合わせて報道関係者に情報提供していきました。
その結果、動物の食べる姿を通じて啓発する意外性で、大手紙で掲載されたほかWEBニュースなどでも取り上げられました。

カレンダーはインターネットから無料でダウンロードできる仕様にしましたが、部屋に貼るには紙への出力が必要です。より手軽に貼ってもらうために印刷版も制作し、県内の小中学校や健康に関するイベント等で配布しました。ユニークな動物たちの食べる姿が好評を博し、用意された全1000部はあっという間になくなりました。今後、増刷も検討されています。


いきものモグモグカレンダーのダウンロードはこちらから

【ブランド】
株式会社リハートテック(ReHEARTTEK)

【協力】
アドベンチャーワールド(株式会社アワーズ)

【デザイン】
株式会社&A(プロデュース、グラフィックデザイン、コピーライティング)

【制作パートナー】
ライター 原田麻衣子

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