各運営団体への伴走で広報力を強化。「子ども第三の居場所」の認知拡大と支援の輪を広げるPR活動
日本財団「子ども第三の居場所」とは
2016年より開始した「子ども第三の居場所」事業は、すべての子どもたちが将来の自立に向けて生き抜く力を育むことを目的として、日本財団が中心となり全国に居場所を開設しています。
この事業では、各々の置かれている状況により困難に直面する子どもたちを対象に、安心して過ごせる放課後の居場所を展開し、食事・学習習慣・生活習慣の定着、体験機会を提供しています。
また学校や地域、専門機関と連携し、「誰一人取り残されない地域子育てコミュニティ」のハブとしての機能も担っています。現在、全国で268カ所以上の居場所が設置されています。(2026年1月末時点)
課題
「子ども第三の居場所」の事業は複数のモデルからなり、子ども食堂や学童とも重なる部分も含めて多岐にわたる一方、事業の統一的な特徴が打ち出しづらく、生活者をはじめ、メディアや自治体からの認知をさらに広げていく必要がありました。また、事業の運営団体は限られたリソースで活動しているため、居場所の開設という地域住民に知っていただきたいタイミングに広報活動に注力することが叶わず、情報発信の体制づくりが急務となっていました。
支援が必要な方たちに「子ども第三の居場所」の存在を知っていただくのはもちろん、自治体による制度の整備や予算面での後押し、地域住民のボランティアや寄付への参加など、地域全体で子どもを支える機運を醸成するには事業の認知拡大が最重要と捉えました。そこで、開所式をきっかけに事業運営団体がその後も自分たちで広報活動を展開できるように支援する「伴走型」の広報PRサポートを実施しました。
活動内容①
「子ども第三の居場所」の開所PRを伴走型でサポートし、事業運営団体がその後の広報活動を自走できる仕組みを構築
まずは地域における「子ども第三の居場所」の開所を最大の好機と捉え、開所式や運営団体・自治体・日本財団の三者協定の調印式でのメディア露出を目指しました。
運営団体によって広報スキルや体制に差があるため、まずはヒアリングと事前アンケートで課題を把握し、広報活動を実施するためのアドバイスを行いました。開所式の準備では、式典運営やメディア向けの文章作成に不安を抱える団体も多く、居場所の魅力を引き出す企画提案から、取材案内状やプレスリリース、進行台本などの広報ツールの作成、地元メディアへのアプローチまで幅広く支援しました。
さらに、広報活動への不安やハードルを下げるため、常に相談できる体制を整備。広報ノウハウをまとめたマニュアルや成功事例集を共有することで活動の定着を促しました。メディア露出による通所者増加や寄付の増加などのメリットを具体的に示すことで、広報活動への動機付けにもつなげ、居場所開所後も運営団体が広報活動を自走できる仕組みを構築しました。

活動内容②
広報モデル拠点と連携した先行事例づくりにより、全国的な認知拡大を目指す
地域全体で子どもを支える機運醸成を目的に「子ども第三の居場所」事業の認知を拡大すべく、特に広報活動に積極的に取り組めると思われるモデル拠点を選定。地元メディアだけでなく、全国や関西・九州といった広範囲でのメディア露出を狙った広報活動を行いました。
プレスリリースの内容や発信タイミングを精査し、事業運営団体や代表者の魅力をまとめた資料を作成。地元メディアを訪問し、事業の背景や拠点の特徴を直接説明することで、全国紙やキー局での露出につなげました。また日々の拠点運営が忙しいなか、広報活動が持続できるよう、チームで取り組める体制づくりを支援しました。
活動内容③
基礎から実践まで、研修により事業運営団体の広報活動への挑戦をサポート
「子ども第三の居場所」の開所準備に取り組んでいる団体向けには、広報活動に積極的に取り組んでいただけるよう、活動の流れがイメージできるような広報PR研修を実施しました。研修では、開所式に向けた広報活動の準備や当日のメディア対応、開所後のフォローまで、基礎的な広報ノウハウを解説。他団体の好事例を交え、式典進行の流れを共有しました。さらに、すでに運営している団体による日々の広報活動の工夫や、その活動がメディアに取り上げられことによって得られた成果など、実体験を紹介する事例共有会も開催しました。
また、メディアに取り上げてもらえるために必要な要素や記者との向き合い方、急な取材依頼があった場合の確認事項など、団体の広報担当者が悩みやすいポイントを抽出し、報道の最前線を経験した弊社内の元新聞記者を講師としたセミナーも実施。日常の広報活動に関する助言も行いました。こういったサポートを通じて、団体が自発的に広報活動に挑戦する動きが広がりました。
活動内容④
全国200カ所開所のタイミングで開催したメディア説明会で理解を深める
全国200カ所目が開所したことを受け、改めて「子ども第三の居場所」を理解していただく機会として、「メディア向け説明会」を開催しました。当日は、こども家庭庁記者クラブ所属を含む、子どもの問題に関心のあるTV局、全国紙、地方紙、業界紙の記者が参加。地方紙の社説で取り上げられるなどの成果を獲得しました。説明会では、運営団体責任者も交え、居場所事業運営の成功要因や課題を事例とともに紹介。全国的に居場所づくりの機運が高まっていることや2024年にこども家庭庁によって新設された児童育成支援拠点事業との関わり、2016年より「子ども第三の居場所」事業を展開してきた日本財団の取り組みの成果についても発信しました。

成果
約4年間でTVや全国紙、地方紙、WEBなど、延べ2,000件以上のメディア露出を獲得。また、「子ども第三の居場所」広報事務局から発信したプレスリリースは80件を超え、居場所運営団体への広報PRサポート終了後も、団体が自発的に情報発信を行う動きも広がっています。支援した団体からは、「メディアに取り上げられたことで、地域の方からお米の寄付をいただいた」「テレビを見て居場所を知った学生がボランティアとして手伝いに来てくれるようになった」という声などを、メディアからの取材を経験した子どもからは、「自分の言葉で話す体験を通じて自信が持てた」という声をいただいています。

まとめ
「子ども第三の居場所」については各地の居場所開所のタイミングを最大の広報チャンスと捉え、広報活動に不安を抱える団体に伴走しながら、一歩踏み出す挑戦を後押ししました。開所後も団体が自発的に広報活動を続ける動きが広がり、それが居場所と地域とのつながりを深める力となっています。また、居場所の開所が全国の様々な場所で報道されることで、「子ども第三の居場所」事業に対する認知も全国的に拡がっています。こうした成果は、事業運営者の声に耳を傾け現場の状況やニーズに寄り添いながら広報の型を整えたこと、そして「広報活動は地域に支援の輪を広げる力になる」という共通認識を事業運営者と築けたことにあると考えています。