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  • 株式会社 Mizkan Holdings/日本女子大学

学生の視点でこれからの日本の食の未来を探求・創造する「にっぽん食プロジェクト」

【にっぽんの食プロジェクト事例記事:後編】 プロのフィードバックが育む、社会とのつながり

前編では、創業220年以上のミツカンと食の研究を重ねる日本女子大学が、産学連携「にっぽん食プロジェクト」を立ち上げた背景を紐解きました。双方に共通する「おいしさと健康の一致」という考え方から、1970年代の日本食を参照しつつ、現代の生活に寄り添い“続けられる日本食”へと再定義を行いました。にっぽん食プロジェクトは5つの概念から出発し、現在は「ごはん時間で、つながろう。」というコンセプトと〈共食/コミュニケーション・旬・簡便〉の3要素を掛け合わせ、学生によるレシピ開発やSNS発信、スーパー店頭での試食提供などを実施していています。後編では、食やPRのプロのフィードバックからつながっていった社会との接点や活動成長に迫ります。

プロのフィードバックが育む、社会とのつながり

――学生の皆さんにとって、企業の視点に直接触れる経験は、どのような影響がありましたか?

新村:ミツカンさんやライフさんといったプロの方々からは、お客様の実際の状況や、それを踏まえた改善案をフィードバックしていただきました。それは、私たちなりに考えられる領域を大きく超えていて、とても勉強になりました。これから社会に出ていく上で、広い視野を持つきっかけになったと思います。

小川:私も、自分の中に社会人としての意識が生まれたことが大きいと感じています。学内の活動は、学生の視野だけで完結しますが、社会に出たらそうではないのですよね。「活動を通して社会にどんな影響を生み出せるか」「活動の意義を広く伝えることで、どんな成果につなげられたか」をしっかり考えることが大事になる。社会に向き合い、主体的に動くことが身についたと実感しています。

加藤:私は4年間このプロジェクトに関わらせていただいて、食の研究開発に携わるという自分の進路が明確になりました。同時に、レシピ開発や学園祭などでのポスター発表を通して学んだ「相手に伝えることの大切さ」も含めて、生活者の方の食卓にいろいろな形で貢献したいと考えるようになりました。

同時に、自分がやりたいことや好きなことに邁進しても、それを世の中に伝えたとき、生活者の方に受容されなかったら仕事として成り立たないと実感しました。これは、企業の皆さまと組めたからこその学びだと思います。

――飯田先生、大学という組織全体への波及効果はいかがでしょうか?

飯田:非常に大きな反響があります。正直に申し上げれば、本学では以前は「良い教育をしていればいい」という考えが強く、外部への発信には消極的でした。しかし、このプロジェクトを通じてPR活動を強化し、ミツカンさんやオズマさんの力もお借りして活動を広めた結果、何人もの受験生から「このプロジェクトに参加したいから日本女子大学に入りたい」と聞くようになりました。活動の意義と同じくらい、広報の大切さも実感しています。

2025年9月、ミツカン東京ヘッドオフィスで開催した「にっぽん食ワークショップ」。51名の学生が参加し、レシピのキャッチコピー考案などのほか、オフィスツアーも実施した
(※https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000623.000065533.html より)

あらゆる人に関係する「食」に、どうスポットライトを当てるか

――オズマピーアールとしては、このプロジェクトを多くの方に知って理解していただくために、どういった点を考慮していますか?

佐藤:メディアさんやその先の方々にお伝えしたいのは、プロジェクトの奥深さです。複数の取り組みがありますが、一つひとつに、にっぽん食の意義や価値を伝えて社会に寄与する思いが込められています。言い換えると、どんな方に伝えるかによって、さまざまな焦点の当て方があると考えています。

その一つが、アンケート調査からわかった“幼少期の食体験”と“自炊”の関係性を取り上げた『レタスクラブ』さんの記事です。このメディアはママさんが多く読まれていますが、調査結果だけでなく、にっぽん食の「簡便性」から子どもと一緒につくれる点を提案し、掲載につながりました。学生さん向けのメディアなら、にっぽん食で大事にしている「簡便性」でも、一人暮らしを想定した切り口を提案するなど、読者対象が違えば、また異なるテーマが見つかります。とても引き出しの多いプロジェクトなので、今後もその特徴を生かしたいです。

『レタスクラブ』2025年12月掲載記事(※https://www.lettuceclub.net/news/article/1312631/ より)

亀山:PRのプロの視点が入ることで、企業と大学という立場が異なる組織の足並みがそろい、外部に対して的確にアプローチできていると思います。例えばメディアを巻き込み、読者が「これなら明日作ってみよう」と思える情報の形に整えてくださる。若い人の感性を生かすことも含めて、私自身、このプロジェクトは社会的な意義があると確信していますが、独りよがりな発信だとその意義も伝わりません。世の中に対して、中立な立場で取り組んでいただけるのはありがたいです。

次世代へつなぐ、豊かで持続可能な「にっぽん食」

――最後に、プロジェクトの今後の展望や、さらに引き継いでいく学生さんへのメッセージをお願いします。

新村:今年はInstagramなどSNSでの発信にも力を入れましたが、ご覧になった方々から感想をいただけたことが、とても印象に残っています。私たちからの発信に加えて、取材いただいた記事などからも、ここまで大事にされてきたことが伝わると思います。後輩の皆さんには、そこに自分たちのやりたいことを重ねてもらえたら、活動がさらに広がるエッセンスになるのではないかなと思っています。

小川:私も、ここまで活動に携わった方々の気持ちを受け継いでいってもらえたらと思います。一方で、もっと知っていただける余地があると思うので、より大規模な、リアルの場での展開にも期待しています。形は変わっても、その根底にある「日本の食を良くしたいという願い」は、ずっと変わらずに持ち続けてほしいです。

加藤:「にっぽん食」が、もっと広まってほしいという思いはもちろんありますが、そこから生活者の方が何らかの気づきを得てくださったら。ご自身の生活の中で、自分を大切にする食を心がけようと思ったり、持続可能という点で、食材を育む地球の環境にも少し気を配ったりできたらいいなと思います。そんな日が、週1日から2日、3日と増えていくことを願っています。

佐藤:このプロジェクトの「おいしさと健康の両立」というメッセージに強く共感していますし、関わる皆さまの姿勢にもいつも感銘を受けています。PRのプロとしてはもちろん、一人の生活者としても、にっぽん食の価値を世の中に広めていきたいと思っています。

飯田:簡便さは大切ですが、不健康につながる手抜きではなく、持続可能でおいしい食を実現する「豊かな知恵」として伝えていきたいと思います。自分の手で作って誰かと分かち合える料理は、AIが台頭するこれからの時代において、より一層価値を増すはずです。学生たちがここで得た経験を糧に、それぞれの人生を豊かにし、周りの人々をも幸せにしていってくれるよう今後も努められたらと思います。

亀山:今日のお話からも、学生の皆さんが楽しみながら一生懸命に取り組んでくれていることがよくわかって、改めてやりがいを感じました。食は暮らしの根幹を担うので、このプロジェクトを通して少しずつでも日本が良くなっていったらうれしいです。この記事を目にした方が、今日の一皿に少しだけ「にっぽん食」の視点を取り入れてくださる。その小さな波紋が、10年後の大きな変化につながると信じています。

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