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道頓堀の有名なあの龍の立体看板が、消えた?! 「金龍ラーメン 相合橋本店」建替リニューアルプロジェクト
道頓堀の有名なあの龍の立体看板が、消えた?! 「金龍ラーメン 相合橋本店」建替リニューアルプロジェクト
大阪を代表する歓楽街「道頓堀」、軒を連ねる立体看板はこの街の文化であり、観光資源にもなっています。その道頓堀の中心部にある「金龍ラーメン 道頓堀店」は、2024年夏にお店のシンボルである龍の立体看板のしっぽを切り、そのしっぽを近隣のかに料理店に設置するというアクションで、全国的に話題になりました。2025年に入ってからも、お店の周囲は、龍の眼に取り付けられた涙やしっぽ痕にスマートフォンのカメラを向ける地元住民や観光客でにぎわっています。
金龍ラーメンはなんばで計5店舗を展開しており、この道頓堀店から東へ約100メートルの位置に「金龍ラーメン 相合橋(あいあうばし)本店」があります。同店舗は金龍ラーメンの2号店として1984年に営業を開始。建物から飛び出る様子を表現した龍の立体看板は2011年に設置され、お店のシンボルとして親しまれてきました。
ㅤㅤㅤㅤ個性豊かな龍の立体看板が設置されています。
2023年から建物老朽化に伴う臨時休業期間に入り、約40年の営業にいったん区切りをつけることとなり、建物の解体工事に伴って龍の立体看板も撤去されることになりました。
オズマピーアールは、道頓堀店の龍のしっぽ切除のアクション以来、博報堂・博報堂プロダクツと共に金龍ラーメンのブランディングに取り組んでいます。13年以上親しまれてきた相合橋本店の立体看板が撤去されるという出来事を、単なる解体工事に終わらせてしまってはもったいないと、そして、2027年秋を予定している店舗リニューアルOPENを告知する機会にできないかと考えました。
■龍の立体看板に「命」を吹き込み、工事中に龍が「建物から飛び去った?!」という物語に
そこで、龍の立体看板を撤去したあとに、その撤去箇所を安全のために覆う養生シートを“メディア”として活用することを企画しました。「立体看板の龍が忽然と姿を消し、穴だけが残された様子」をシート上で表現することで、「解体工事がはじまって、建物から龍が飛び去った(そして、2027年秋予定のリニューアルOPENでは戻ってくる?!)」という物語を創るべく、シートにデザインするビジュアルを検証していきました。
■国内ブルーシートトップメーカーとの協業で、巨大特注シートを制作
このアイデアを実現するうえでカギとなるのが、精緻なデザインを施すことができる巨大なシートの存在です。そこで、オズマピーアールが2022年から中国四国博報堂と共に広報戦略策定・推進に取り組んだ国内ブルーシートトップシェアメーカーの萩原工業株式会社に相談をし、全面的に協力をしてもらえることになりました。最大縦幅5メートル、横幅14メートルの軽量で強度・安全性が高いポリエチレン製の国産防炎シート計4枚に、2023年から萩原工業が導入した新型印刷機で精密なUVインクジェット印刷を施しました。店舗の壁面のあざやかな赤色や、龍が店舗から飛び去ったあとの「穴」が描かれた巨大特注シートが完成しました。
特注シートの制作と並行して、龍の立体看板撤去工事および特注シート設置工事の決行日に向けて、建物解体業者・立体看板撤去業者・特注シートを貼り付けるテント業者など、多岐にわたる関係者との調整を重ねました。
■2025年12月、ついに工事を決行
12月18日夜、金龍ラーメンの仕事でこの半年間、何度も足を運んだ道頓堀通は、凍てつくような寒さにも関わらず、この日も活気に満ちていました。24時を超え日付が19日に変わり、ストリートを歩く人びとがまばらになりはじめた午前1時、ついに龍の立体看板の撤去工事が始まりました。
龍の立体看板の頭・胴体・しっぽがクレーンで順番に撤去され、お店の前に一時的に置かれ、その様子を複数のテレビ局のカメラが取材するという、この日だけしか見ることのできない光景に、未明の道頓堀を道行く人びとは驚き、カメラやスマートフォンを向けていました。その様子は、さながら有名モデルの撮影会のような雰囲気で、この立体看板が地域のランドマークとして愛されてきたことを改めて実感しました。
龍の立体看板撤去工事完了後、養生シートの取り付け工事がはじまりました。
前日まで当然のように存在していた龍の立体看板が、深夜の約7時間にわたる工事を経て姿を消し、代わりに龍のうねる体に沿って店舗の壁に空いた「穴」とリニューアル時期の告知が掲載されたシートが登場しました。
この出来事は、取材に訪れた在阪テレビ2局によるニュース放映、通信社の配信による首都圏のトレインチャンネルでの放映、さらには工事完了後に配信したプレスリリースによって、大手WEBメディアでの掲載を実現しました。当初の狙い通り、龍の立体看板の撤去工事の様子をメディアに取り上げてもらうことで、2027年秋予定のリニューアルOPENを告知する発信につなげることができました。
特注シートは本格的な解体工事開始にあたって、干支が辰から巳に変わった2025年1月初旬に撤去され、2025年4月現在は建物解体工事のまっただ中です。リニューアル後のお店は、どのような姿に生まれ変わるのか? そして、飛び去った龍は戻ってくるのか? ぜひ、その推移に注目いただければと思います。
金龍ラーメンの相合橋本店以外のほかの4つの店舗は、いまも変わらず、一杯のラーメンを提供し続けています。
【クライアント】
金龍ラーメン(金龍製麺株式会社)
https://kinryuramen.com/
【シート制作協力】
萩原工業株式会社
<参考記事>
「おもしれぇ、直ぐやってみゅう」の企業スピリットを継承!サステナブルなブルーシートを軸にした広報戦略策定・推進プロジェクト|萩原工業
https://ozma.co.jp/casestudy/detail/52
【エージェンシー】
株式会社博報堂(プロデュース、クリエイティブディレクション)
株式会社オズマピーアール(プロデュース、パブリック・リレーションズ)
株式会社博報堂プロダクツ(デザイン)
<本プロジェクト オズマピーアールスタッフ>
リレーションズデザイン本部 RD5部
久保田敦 伊田雄紀
文:オズマピーアール 久保田敦
写真提供:金龍製麺株式会社、萩原工業株式会社